井関農機は2017年6月13日、自動運転機能を備えるトラクター「T. Japan」を発表した。農業の「生産性向上、効率化、大規模化」を見据えて、有人監視下での自動運転が可能なトラクターを開発したとしている。
図 井関農機が発表したトラクター「T. Japan」。自動運転機能を備える
出所 井関農機
日本の農業は大規模化と農地の集約が進んでいるという。その結果、1人の農業従事者が担当する農場の規模は拡大する一方となっている。しかしその一方で、農業従事者の高齢化が進み、農業人口は減少し続けており、農作業に熟練した農業従事者を確保することが困難になりつつある。
農業用トラクターの操作は、4つのペダルと2つの変速レバーなどを使いこなさなければならないもので、そう簡単なものではない。一通りの操縦法を覚えても、実際の農作業に役立つレベルまで習熟するには時間がかかる。不慣れな作業者がトラクターの操作に習熟するまでの時間的コストは大きなものになる。そして、先述のように1人の農業従事者が担当する農場の規模は拡大し続けている。広大な農場をトラクターで耕していく作業は、1人で担当するには負担が重い。そこで井関農機は、自動運転機能を持つトラクターを開発した。
今回井関農機が発表したトラクターは、GNSS(Global Navigation Satellite System:全球測位衛星システム)を利用して、トラクター自身が現在位置を検出する。さらに、内蔵するジャイロセンサーでトラクターの傾きを検知してGNSSによる測位結果を補正し、現在位置をより正確につかむ。この現在位置情報を頼りに、トラクター自身が自動的に動作する。有人監視下という条件は付くが、自動での農作業が可能になる。農林水産省が策定した「農業機械の自動走行に関する安全性確保ガイドライン」に沿った安全確保のための機器も搭載しているという。
今後は60馬力クラスのトラクターに自動運転機能を搭載して、運転試験を続けていくという。そして、2018年度中に商品化することを目指すとしている。
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井関農機