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ソーラーフロンティア、出力を最大で10W向上させた新モジュール「SFKシリーズ」を発表

2017/06/23
(金)
SmartGridニューズレター編集部

ソーラーフロンティアは、太陽光発電モジュールの新製品「SFKシリーズ」を発表した。

ソーラーフロンティアは2017年6月21日、太陽光発電モジュールの新製品「SFKシリーズ」を発表した。9月から注文受付を開始し、2018年1月から出荷開始の予定。出力が180Wの「SFK180-S」と、185Wの「SFK185-S」の2製品を売り出す。一般的なシリコン結晶を使用したものではなく、銅(Copper)、インジウム(Indium)、セレン(Selenium)を主成分とした薄膜で発電するモジュールだ。主成分の頭文字から「CISモジュール」「CIS太陽電池」とも呼ぶ。

図 ソーラーフロンティアが発表した、太陽光発電モジュールの新製品「SFKシリーズ」

図 ソーラーフロンティアが発表した、太陽光発電モジュールの新製品「SFKシリーズ」

出所 ソーラーフロンティア

SFKシリーズの大きな特徴は3つ。1つ目は出力の向上。CIS薄膜の成膜工程を大きく改良することで、前世代の製品で同サイズ(1257×977×35mm)の「SF175-S(出力は175W)」に比べて出力を引き上げた。SFK180-Sは5W引き上げて出力を180Wとし、SFK185-Sは10W引き上げて出力を185Wとした。変換効率はSF175-Sの14.2%から、それぞれ14.7%、15.1%まで向上した。5年ほど前、ソーラーフロンティアのCISモジュールの変換効率は13%程度で、多結晶シリコンを使用したモジュールと比べて見劣りしていたが、いよいよ多結晶シリコンを使用したモジュールと横並びで比較できるレベルまで上がった。

2つ目の特徴は構成材料の見直しなどによる本体の減量だ。外形寸法が同じ前世代品SF175-S(20kg)から1.5kgの軽量化に成功した。3つ目は構造設計の改良。新しいフレーム設計を取り入れ、モジュールを水平に設置したときの水切り性能が上がり、モジュール表面に走っていた銀色の細い配線を見えないように配置した。ソーラーフロンティアは「黒一色のスタイリッシュな外観が一層際立つよう工夫した」としている。さらに、表面に汚れが付着したときの出力低下を抑える新しい機能も取り入れたという。

SFKシリーズはソーラーフロンティアが宮崎県で運営している「国富工場」で生産する。今後は積雪などの備えて耐荷重性能を高めた製品を追加で発表、発売する予定だ。また、ソーラーフロンティアは2017年2月にCIS太陽光発電モジュールの試作品で発電効率19.2%という記録を樹立している。この記録はすべての種類の薄膜太陽光発電モジュールの記録を超える世界新記録となっている。ソーラーフロンティアによると、今回の新製品SFKシリーズには、世界記録更新時の技術を反映させていないという。

電力を自給自足で賄うことに対する消費者の関心が高まり、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)を標準とする政策も施行となったことから、ソーラーフロンティアは国内の住宅市場を大きなターゲットとし、狭い屋根で大きな発電量を得られるようにモジュール出力の向上に取り組んでいるという。ソーラーフロンティアが新記録達成時の技術を製品に反映させる時期ははっきりしないが、今後のCIS太陽光発電モジュールの成長に期待が持てそうだ。


■リンク
ソーラーフロンティア

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