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損保ジャパン日本興亜、レベル4~5の自動運転に向けた保険開発を目的に東大と共同研究開始

2017/06/26
(月)
SmartGridニューズレター編集部

損保ジャパン日本興亜は、レベル4、5の高度な自動運転技術に対応する保険商品開発を目的に、東京大学と共同研究契約を締結し、5月から共同研究を開始していることを発表した。

損害保険ジャパン日本興亜(損保ジャパン日本興亜)は2017年6月22日、レベル4、5の高度な自動運転技術に対応する保険商品開発を目的に、東京大学と共同研究契約を締結し、5月から共同研究を開始していることを発表した。米国自動車技術会(Society of Automotive Engineers)が定義した自動運転レベルのうち、最上位2レベルに対応する保険商品の開発を目指す。そのために、情報理工学系研究科の加藤真平准教授の研究室が実施する公道での実証実験に参加することも予定している。

図 米国自動車技術会が定義した自動運転技術の内容。レベル4以上を抜粋して掲載している

図 米国自動車技術会が定義した自動運転技術の内容。レベル4以上を抜粋して掲載している

出所 国土交通省(「官民ITS構想・ロードマップ2017」より抜粋)

上に挙げた表は自動運転レベルのうち、自動運転車が主導権を握って乗用車を制御するレベル3以上の定義をまとめたものだ。レベル3から運転の主導権が運転手から自動運転車に移るわけだが、現在のところ日本国内ではレベル3の自動運転車は実用のものとなっていない。国土交通省は2020年までに高速道路など一部路線での自動運転実現を目指すとしているが、地域を限定している以上、レベル3あるいはレベル4で実現ということになる。

つまり、最速で2020年には完全に自動運転車が運転の主導権を握るレベル4の自動運転車が日本の公道を走る可能性があるということだ。実際ZMPは2020年の東京オリンピック・パラリンピックの会期までにレベル4の自動運転技術を備える自動運転タクシーを実用化することを目指している(参考記事)。

損保ジャパン日本興亜は、レベル4以上の自動運転車が実際に走るようになったときに、どのようなリスクがあるのかを想定しきれていないという。法整備が進んでいないため、レベル4に対応する自動運転車があっても、自由に公道を走らせることができない。そのため、事例がまったく積み重ならないので、自動運転車ならではの事故のリスクについても、すべてを想定できているとは言えないという。

そこで2017年5月から、部門横断の「自動運転タスクフォース」を設立している。今後はこのタスクフォースが東京大学が実施するレベル4以上の自動運転技術の実証実験に参加し、各種データを収集分析して、自動運転車ならではの事故リスクや事故形態を洗い出し、事故発生時のデータを解析することで、事故原因の究明に挑む。そして、研究成果を活かして、レベル4以上の自動運転車ならではのリスクに備える保険商品を開発するとしている。

そして7月1日からは、自動運転車で想定できるトラブルの一部に対応する特約「被害者救済費用特約」を新設する。この特約は、ネットワークを通した不正アクセスで攻撃者が自動車を遠隔操作して事故を発生させた場合、や自動車の欠陥が原因で事故が発生したときに、運転車(被保険者)に法律上の損害賠償責任がないと確定した時点で、損害回復のために被保険者が負担した費用を支給するというもの。この制度で保険金を受給しても、継続契約の等級は変動しない。

さらに、衝突、接触事故発生時の等級の扱いも変更する。従来は被保険者に過失がない場合(完全に停車しているところ追突された、赤信号無視の車両が衝突して来たなど)は、保険金を支給しても等級に影響しない制度を取っていた。この対象を自動車事故だけでなく、対人事故、対物事故にも拡大する。自動車の欠陥や不正アクセスなどで対物、対人の接触事故を起こしても、等級の変更なしに保険金を支給する。


■リンク
損害保険ジャパン日本興亜

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