大成建設と東芝デジタルソリューションズは2017年7月18日、建設現場に出入りする車両を管理するシステム「T-Gate.Navi」を開発したと発表した。カメラを搭載したメガネ型端末と、クラウドでの機械学習を活用して、車両管理業務の省力化を実現するシステムだという。
建設現場には、資材を搬入する車両や作業員を乗せた車両など、多数の車両が出入りする。車両の情報は紙の台帳に手作業で記入して管理するという例が多いが、各車両を細かく調べて入退場させていては管理作業に時間がかかってしまい、入場待ちの車両が行列を作り、渋滞を発生させるという事態を招きかねない。入退場許可を得ているかどうかはその場では細かく調べず、とりあえず入退場させてしまうということもあるという。
T-Gate.Naviを利用するときは、管理担当者が着用するカメラ搭載のメガネ型端末で、出入りする車両のナンバープレートを撮影する。画像データは無線LANとインターネットを経由して東芝が運営するクラウドに届く。クラウドでは機械学習などを活用してナンバープレートの画像を解析し、ナンバープレートの文字情報を検出してテキスト化する。そしてテキスト化した情報と、事前に登録した車両情報と照合してその結果をメガネ型端末に返信する。車両管理担当者はメガネ型端末に映る照合結果を見ることで、入場許可を得ていない車両の入場をその場で止めることが可能になる。
図 メガネ型端末で撮影したナンバープレート画像をクラウドが解析し、入場許可を得ているかを確認する
出所 東芝デジタルソリューションズ
ナンバープレートの情報を照合する際には、その情報を履歴として残す機能も持つ。履歴は表形式で保存できる。手書きで作っていた入退出車両の台帳が自動的にできるということだ。また車両入退場時に、その車両の情報を関係者にメールで送信する機能も持つ。
メガネ型端末は音声認識機能を備えており、車両管理業務に関係する言葉を高い精度で認識する。管理担当者はナンバープレートを撮影する時なども、マイクに向けて話し声で指示を出すだけでメガネ型端末を操作できる。
すでに、複数の大規模建設現場にT-Gate.Naviを投入し、実証実験も実施している。その結果、T-Gate.Naviを利用することで車両管理業務をおよそ20%省力化できることを確認しているという。
今後、大成建設はこのシステムの実用化にむけて、より多くの現場へ投入するとしている。また東芝デジタルソリューションズは、建設工事現場の中でもセンサーやコンピュータ技術を活用して省力化できる部分を探し、現場作業員の人手不足解消に貢献していきたいとしている。