セコムとNTTドコモは2017年9月1日、AED(自動体外式除細動器:Automated External Defibrillator)の状態を遠隔監視するサービスの提供に向けて実証実験を実施すると発表した。実験は9月2日から開始する。
この実験では、ドコモが構築するLoRaWANの無線通信網を利用して、市街地のさまざまな場所に設置してあるAEDの状態を示すデータを受信し、正常に稼働可能かどうかを確認するもの。何者かに持ち出されている、電池が切れているなどの異常を検知したときは、セコムの担当者が現場に向かって、素早く復旧する。
NTTドコモはこの実験で、LoRaWANのネットワークに加えて、通信モジュール、LoRaWAN対応ゲートウェイ、通信モジュールから受信したデータを管理するサーバーを提供する。セコムは消費電力が少なく、長距離の通信が可能で、機器のコストが低いLoRaWANに期待しており、将来はAED本体だけでなく、その状態をLoRaWANで送信する無線通信端末も蓄電池で運用可能となり、電源の確保が難しい場所に設置するAEDの状態も正確につかめるようになると考えている。
図 実証実験で使用する機器の構成
出所 セコム
セコムは今回の実験で検証したい点として3つ挙げている。1つ目は、広い範囲のさまざまな場所に設置したAEDの状態の情報を、LoRaWANで送信することが現実的であるかどうかという点。2つ目はセコムのAED管理ユニットと、NTTドコモの通信モジュールの接続にどれ位の手間がかかるかという点。3つ目はドコモのサーバーとセコムのサーバーの連携にかかる手間がどれくらいかという点だ。
セコムは、LoRaWANを活用したAEDの状態監視サービスを2018年内に実用化することを目指している。そのために、セコム社内並びに協力企業に設置したAEDを対象に通信の安定度や運用コストを検証し、サービスの商用化に向けてさらなる開発を進める。いずれは、セコムが日本全国に販売した約17万台のAEDをLoRaWANの無線通信でつなぐ計画だ。さらに、AEDだけでなく、セコムが提供するさまざまなセキュリティ対策機器にLoRaWANの通信機能を持たせることも計画しているという。