神戸自動走行研究会、NTTドコモ、日本総合研究所、国立大学法人群馬大学、神戸市は2017年11月7日、神戸市北区の「ニュータウン」で自動運転車を住民の足として活用することを狙った「ラストマイル自動運転移動サービス」の実証実験を実施すると発表した。期間は2017年11月7日から12月24日までのおよそ2カ月間。11月中は、自動運転で決まったコースを走り続け、12月になったらコースから外れた場所の住人からの呼び出しに応じて運転手が運転して迎えに行き、自動運転コースに戻る形で運用する。実証実験に使用する車両はトヨタ自動車のミニバンに、群馬大学が開発した自動運転機能を搭載した車両2台を使用する。2台とも基本的には自動運転で運行するが運転席には運転手が常駐し、緊急時は運転手が手動で運転する。また、住人からの呼び出しにも運転手が対応する。
図 今回の実証実験に使用する車両のイメージ
出所 NTTドコモ
実験の場は神戸市北区のニュータウン「筑紫が丘(つくしがおか)」。日本経済が大きく成長し、人口が急激に増加した1970年代、日本全国で「ニュータウン」建設が進んだ。筑紫が丘も同時期に建設が始まったニュータウンだ。しかし今では住民の高齢化、少子化に伴う人口減少が進んでいる。筑紫が丘には現在、約2000世帯、6000人が暮らしているが、人口の40%が65歳以上で、5年後には50%に達する見込みだという。高齢の住民の中には、普通自動車運転免許を返納して自家用車を手放す人も少なくないという。
さらに、筑紫が丘は丘陵地を切り開いて開発したため坂道が多く、高齢者が歩いて移動するには厳しい環境だ。最寄りの駅である神戸電鉄有馬線の「山の街駅」までは直線距離でおよそ1km。バスで15分~20分と、決して近いとは言えない。
図 筑紫が丘とその周辺の地図、最寄り駅である山の街駅からは1kmほど離れている
出所 Google
今回の実験に使用する車両は、NTTドコモが開発した「リアルタイム移動需要予測」の技術を活用する。これは、携帯電話ネットワークを利用して作成する人口統計データに、交通事業者の運行データなどを合わせてAI(Artificial Intelligence:人工知能)で分析することで、交通機関の需要を予測するものだ。また、利用希望者から呼び出しを受けたときに、迎えに行くルートをAIが自動で計算する。
NTTドコモは今後も日本の各地域で、今回の車両と同様のものを使った実証実験を実施し、サービスとして事業化できるか検討を進めるとしている。