東京ガスとNTTドコモは2017年11月9日、ガススマートメーターにNTTドコモの通信端末を取り付けて通信性能や消費電力などを検証する通信実験を実施すると発表した。実験期間は11月9日から2018年12月31日。東京ガスは2017年度には50、2018年度には500の戸建て、集合住宅の世帯に試験用ガスメーター通信端末を新設する。NTTドコモは通信端末をガスメーターに接続し、両社で通信成功率や通信にかかる時間、通信端末の電力消費量などを評価するとしている。
図 東京ガスが設置する試験用ガスメーターに通信端末を接続し、通信性能を評価する
出所 NTTドコモ
通信端末はLTE Cat.1(カテゴリ1)に対応する。使用する周波数帯域幅はLTE規格の中でも最大となる20MHzのままだが、通信速度を上り5Mbps、下り10Mbpsに落として消費電力量削減を狙った通信方式だ。公式には発表していないが、NTTドコモは2015年11月からLTE Cat.1のサービスを始めており、法人向けに提案、提供しているという。
この通信端末はさらに2つ、消費電力量を抑える機能を持っている。1つ目は「eDRX」。NTTドコモが2017年10月2日から東京都市部で対応した技術だ(参考記事)。eDRXでは、一旦信号を受信したら、長いスリープ状態に入って消費電力を削減する。
もう1つは2017年内に提供を始めると予告していた新開発のUIM(SIM)カード「ドコモUIM(M2M)バージョン6」だ。従来のUIMカードでは、常にUIMカードに電力を供給していたが、新しいUIMカードでは通信時に限ってUIMカードに電力を供給することで、消費電力量を削減する。
NTTドコモは2016年4月から東京ガス、大阪ガス、東邦ガス、NTTテレコンの4社の協力を得て、以上の技術を組み込んだガススマートメーター向けの通信端末を開発したという。従来の技術を使った通信端末に比べて、消費電力量を90%以上削減しており、電池だけで10年以上動作し続けるという。今回の実験で使用する通信端末はパナソニック システムソリューションズ ジャパンが製造して供給する。
NTTドコモは今後、大阪ガスなどと共同で同様の通信実験を実施し、通信端末の消費電力削減効果や通信性能の検証を続けるとしている。