水道メーターやガスメーターの開発販売を手掛ける東洋計器とKDDIは2018年1月23日、セルラーLPWAを共同で活用していくことで合意したと発表した。両社はLPガス事業者向けにLTE Cat.M1(LTE-M)を活用したスマートメーター運用基盤の開発や、LTE Cat.M1対応のガススマートメーターなどの機器開発に共同で取り組む。ちなみに東洋計器はガス、水道事業者向けの集中監視システム「りんどうシステム」の運用を1987年に開始し、海外でも受注するなど、ガス、水道メーターに関する豊富なデータとノウハウを保有している。
図 LTE Cat.M1を使用するスマートメーターの運用基盤を共同で開発する
出所 KDDI
まず両社はLTE Cat.M1の無線通信に対応するLPガスメーター用送信機「IoT-R」を開発する。少ない電力で長距離通信が可能なLTE Cat.M1を利用することで、電池だけでおよそ10年間の双方向通信が可能な送信機だ。また、東洋計器が開発したりんどうシステムはPHS網を利用した無線送信機も利用できるが、新開発の送信機ではPHSでは電波が届きにくいところからでも検診データの自動送信が可能になるという。
IoT-RとLTE Cat.M1の無線通信網を活用したスマートメーター運用基盤は、まずLPガス業者向けのものを開発する。この基盤を利用することで、LPガス利用者のガス消費量を精密に把握できるようになり、利用者もそのデータをスマートフォンで確認できるようになる。さらに、消費量などのデータをAI(Artificial Intelligence:人工知能)で分析することで、各世帯のLPガスボンベ交換時期を予測して、最適な時期に効率良く交換できるようになる。
加えて、利用者に利用明細をWebで発行したり、電子決済を利用可能にするなど、利用者向けサービスを充実させることもできる。LPガス事業者から、より効率良く利用できるガス料金メニューを提案したり、プリペイドサービスを提供するなどといったことも可能だ。加えて、ガスの使用状況からその世帯の住人の安否を確認する高齢者世帯向けサービスも提供可能だ。
東洋計器は現在、全国の水道、ガスメーターなどの検針情報や緊急情報を「マルチセンター」という自社開発のシステムで受信しているが、これを新たに開発する「IoT-R」に対応するように改修する。KDDIは、今回開発する基盤を、ガス、水道業者だけでなく、ほかの業種にも対応するものにしていくことを検討しているという。