住商の欧州法人、エストニア企業と代理店契約―PHEV/EVへのウルトラキャパシタ導入が目的

インプレスSmartGridニューズレター編集部

2017年12月11日 0:00

エストニアSkeleton Technologiesは、住友商事のヨーロッパ法人と代理店契約を締結したと発表した。

エストニアSkeleton Technologiesは2017年12月7日(東ヨーロッパ時間)、Sumitomo Corporation Europeと代理店契約を締結したと発表した。Sumitomo Corporation Europeは日本の住友商事のヨーロッパ法人。今回の代理店契約締結で、Skeleton Technologiesが開発、生産する「ウルトラキャパシタ(電気二重層コンデンサ)」の拡販に取り組む。

図 Skeleton Technologiesのウルトラキャパシタ「SkelCap」シリーズ

図 Skeleton Technologiesのウルトラキャパシタ「SkelCap」シリーズ

出所 Skeleton Technologies

Skeleton Technologiesは2009年設立のベンチャー企業で、エストニア共和国の首都であるタリンに本社を置いている。2017年3月にはドイツ・ザクセン州東部のチェコ、ポーランド国境そばの都市グロースレールスドルフに大規模な製造拠点を開設している。

同社のウルトラキャパシタ「SkelCap」シリーズは、同社の特許技術を活用し、グラフェンを材料とすることで性能を高めたもの。同社によるとSkelCapシリーズは他社のウルトラキャパシタに比べて、2倍のエネルギー密度(体積、重量当たりの蓄電容量)と4倍のパワー密度(一瞬で放電できる電力量)を誇るという。また2~3秒で充電でき、100万回以上の充放電が可能という特徴もある。

今回の代理店契約の大目的は、プラグインハイブリッド車(PHEV)や電気自動車(EV)へのウルトラキャパシタ導入量を拡大する点にある。PHEVやEVが電源として利用しているリチウムイオン蓄電池は、現在実用となっている蓄電池の中ではエネルギー密度、パワー密度ともに最大のものだ。

ウルトラキャパシタは、リチウムイオン蓄電池に比べるとエネルギー密度では劣るが、パワー密度が優れるという特徴がある。イタリアのAutomobili Lamborghiniがアメリカ・マサチューセッツ工科大学と共同で開発したコンセプトカー「Terzo Millennio」は、大出力を発揮する駆動用モーターに電力を供給するには、リチウムイオン蓄電池のパワー密度では不十分と考えて、電源として電気二重層コンデンサ「スーパーキャパシタ」を採用している(参考記事)。

Skeleton Technologiesは、PHEVやEVの電源としてウルトラキャパシタをリチウムイオン蓄電池と組み合わせて利用することを想定している。発進時など、大電力が必要な場面ではウルトラキャパシタが電力を供給し、長時間の電力供給はリチウムイオン蓄電池が担当する。こうすることで車両に搭載するリチウムイオン蓄電池のセル数を削減し、蓄電池の寿命を倍に伸ばせるという。

Skeleton TechnologiesのCEOを務めるTaavi Madiberk氏は「住友商事グループは電力関連の技術をよく理解しており、世界的な販売網を持っている。私たちが世界の自動車業界の主要企業と関係を築く上で大きな助けとなるはずだ」と、今回の代理店契約締結の理由を語っている。


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Skeleton Technologies

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