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トヨタ自動車と中部電力、電動車用蓄電池の再利用とリサイクルの実証へ

2018/01/31
(水)
SmartGridニューズレター編集部

トヨタ自動車と中部電力は、ハイブリッド車などの電動車が搭載する蓄電池を再利用、リサイクルする実証に共同で取り組むと発表した。

トヨタ自動車と中部電力は2018年1月31日、ハイブリッド車(HV)などの電動車が搭載する蓄電池を再利用、リサイクルする実証に共同で取り組むと発表した。電動車で使用済みとなった蓄電池を組み合わせて大規模蓄電池システムを構築し、完全に使い切って寿命を迎えた蓄電池からは希少金属を取り出し、再び蓄電池用として活用する計画だ。

今回の実証では、トヨタ自動車の電動車から回収した蓄電池を使って、中部電力が蓄電池システムを構築し、電力系統安定に役立てることを狙っている。先行して車載蓄電池の再利用に取り組んでいる日産自動車は、蓄電容量が新品に比べて7~8割に低下すると交換が必要としている(参考記事)。電動車の電源としては使えないものであっても、まだ新品と比較して7~8割の蓄電容量を維持しており、ほかの用途なら十分に利用できるのだ。

中部電力が構築する大規模蓄電池は、例えば太陽光による発電量が予想を超えてしまい、供給電力量が需要を超過するときに、超過分を蓄電池システムに充電し、後で放電するといった用途に利用する。また、送電周波数が乱れたときに、蓄電池システムが放電、あるいは充電することで、周波数を安定させる際にも有用だ。さらに、配電系統につながっている風力発電設備や太陽光発電設備の稼働率が上昇して、送電網の電圧が上がりすぎてしまったときにも、蓄電池システムが充放電することで電圧を適正範囲に留めるなどの使い方も考えられる。

図 供給電力量が需要を超過するとき(左上)や、送電周波数が乱れたとき(右上)、送電電圧が上がってしまったとき(下)などに蓄電池システムを利用する

図 供給電力量が需要を超過するとき(左上)や、送電周波数が乱れたとき(右上)、送電電圧が上がってしまったとき(下)などに蓄電池システムを利用する

出所 トヨタ自動車

蓄電池システムには、トヨタ自動車のHVが主に使用しているニッケル水素蓄電池を使用する。さらに、2030年ごろには電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)が搭載するリチウムイオン蓄電池も活用する予定だ。

トヨタ自動車と中部電力は2018年度に蓄電池システムの実証を開始し、その結果を検討しながら2020年度には出力およそ10MW(1万kW)の蓄電池システムの導入を目指すとしている。


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トヨタ自動車
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