福島県相馬郡新地町とNECなど11社は2018年2月15日、JR常磐線「新地」駅周辺でガスコージェネレーションシステムを活用したエネルギーサービスの提供を目指して新会社を設立したと発表した。新会社に名称は「新地スマートエナジー株式会社」。出資金は合計で5000万円。出資比率は新地町が過半数となる51%。石油資源開発が14%、京葉プラントエンジニアリングが8%、NECが6%、NECキャピタルソリューションが5%、NTTファシリティーズが4%、URリンケージが4%、日本環境技研が2%、東邦銀行、ふくしま未来農業協同組合、あぶくま信用金庫、相双五城信用組合がそれぞれ1.5%ずつ。
図 JR常磐線「新地」駅周辺の航空写真
出所 NECキャピタルソリューション
新会社の事業内容は2つ。1つ目は新地駅近くにガスコージェネレーションシステムを設置した「地域エネルギーセンター」を建設し、発電した電力や発電過程で発生した熱などを新地駅周辺の施設に供給すること。ガスコージェネレーションシステムが発生させるCO2は、近隣の農業施設に供給し、作物の育成促進に利用する。また、発電した電力を周辺施設に送電する自営線も建設する。
図 新会社が建設を予定している「地域エネルギーセンター」
出所 NECキャピタルソリューション
ガスコージェネレーションシステムの燃料はLNG(Liquified Natural Gas)。石油資源開発が2018年3月に操業開始を予定している「相馬LNG基地」から供給を受ける。エネルギーやCO2の供給は2018年秋から開始の予定だ。
もう1つは、エネルギー供給エリア内のエネルギー需給バランスの安定化。CEMS(Community Energy Management System)を導入し、コージェネレーションシステムの稼働状況や、供給先の建物や設備の情報を分析し、エリア内で需要と供給のバランスを取る。
図 地域エネルギーセンターがエネルギーやCO2を供給するエリア
出所 NECキャピタルソリューション
加えて、災害時も途絶えることなくエネルギーを供給する体制を作る。地域エネルギーセンターなどの施設に太陽光発電設備を設置する日か、定置型蓄電池、ソーラー街路灯などを設置し、再生可能エネルギーも利用できる仕組みを構築する。
この事業は、政府と福島県が推進する「福島・国際研究産業都市(イノベーション・コースト)構想」の一貫であり、この構想のエネルギー関連産業プロジェクトとして実施する。この構想は、東日本大震災とそれに伴う福島第一原子力発電所事故の被害を受けた福島県浜通り地域で、再生可能エネルギーや分散型エネルギーシステムを活用した街づくりや、産業基盤の再構築を目指す構想。そしてこの事業は、経済産業省の「スマートコミュニティ導入促進事業」から支援を受けている。