東芝エネルギーシステムズは2017年10月26日、宮城県から受注していた自立型水素エネルギー供給システム「H2One」を納入し、運転を始めたと発表した。設置場所は東北楽天ゴールデンイーグルスの本拠地である「楽天生命パーク宮城」のそば(宮城野原公園総合運動場内)。東北楽天ゴールデンイーグルスは、H2Oneの電源として新たに太陽光発電システムを設置したという。
図 「楽天生命パーク宮城」のそばに設置した「H2One」
出所 東芝エネルギーシステムズ
新たに設置したH2Oneの出力は3.5kW。1時間当たり1m3の水素を作り出す能力がある。H2Oneが発電した電力は球場内の電光掲示板に供給する。また、球場内で運営している地域ラジオ局「Rakuten. FM TOHOKU」もH2Oneから電力供給を受ける。災害などで電力会社からの電力供給が途絶えた時も、蓄積しておいた水素で電力を供給し続ける。電力は、災害情報を発信するためにラジオ局と電光掲示板、そして避難誘導のために球場内の照明、避難者の携帯電話充電に使用する。さらに、手洗いに温水を供給する。非常時に電力を供給できる時間は、ラジオ局のみに供給したとして72時間。
今回設置したH2Oneは、水素タンクに水素吸蔵合金を採用するなどの改良で、小型化に成功した。従来のH2Oneは、20フィートコンテナ3台に機器を格納していたが、今回のH2Oneは、1台に収まった。
これまでH2Oneは、東北電力の研究開発センター(参考記事)や、JR東日本武蔵溝ノ口駅(参考記事)などが導入している。今後も再生可能エネルギーの活用、そしてそれを利用して生成する水素の活用に向けて、H2Oneなどの普及を目指すとしている。
■リンク
東芝エネルギーシステムズ