[ニュース]

九州電力が日本最古の地熱発電所の設備更新工事を開始、最新設備採用で出力を2MW引き上げ

2018/04/03
(火)
インプレスSmartGridニューズレター編集部

九州電力は、同社が運営する大岳(おおたけ)地熱発電所の設備更新工事を開始した。

九州電力は2018年4月2日、同社が運営する大岳(おおたけ)地熱発電所の設備更新工事を開始した。大岳地熱発電所は、大分県玖珠郡九重町(くすぐんここのえまち)に立地する日本最古の事業用地熱発電所。1967年8月の運転開始以来、50年以上に渡って安定稼働を続けてきた。今回は地熱資源をより有効に活用するために、効率の良い最新の発電設備を導入して、出力向上を図る。

図 九州電力の大岳地熱発電所

図 九州電力の大岳地熱発電所

出所 九州電力

大岳地熱発電所の出力は現時点で、12.5MW(1万2500kW)。これを今回の設備更新工事で14.5MW(1万4500kW)まで引き上げる計画だ。発電所の停止期間をなるべく短くするために、発電所の運転を続けながら、隣接する土地に新しい発電設備を設置する。地熱の生産井と還元井は、現在使用しているものを引き続き利用する。工事に必要な環境影響評価は完了しており、九州電力は2016年6月に評価書確定通知を受け取っている。

ちなみに、大岳地熱発電所のすぐ南には、九州電力が運営する日本最大の地熱発電所「八丁原(はっちょうばる)地熱発電所」がある。ここでは、出力55MW(5万5000kW)の地熱発電設備が2基と、出力2MW(2000kW)のバイナリー発電設備が1基稼働しており、合計出力は112MW(11万2000kW)となる。

九州電力は2015年4月の「九州電力グループ中期経営方針」で、日本国内に限らず、諸外国も対象に地熱発電所の開発を進める計画を打ち出しており、日本の大手電力会社の中では最も積極的に地熱資源の開発に取り組んでいる。計画では、地熱による発電出力を2030年までに800MW(80万kW)上乗せすることを目標にしている。

2015年4月時点で、九州電力グループが運営する地熱発電所の合計出力はおよそ208MW(20万7960kW)。2017年3月にはインドネシアのサルーラで、出力およそ110MW(11万kW)の地熱発電所の運転を始めている。サルーラでは同規模の地熱発電所をもう2基建設し、合計出力をおよそ320MW(32万kW)とする予定だ(参考記事)。そして、2017年6月には大岳地熱発電所が立地する九重町で、新たな地熱資源の調査を始めている(参考記事)。九重町では数MW級(数千kW)の出力を期待しているという。


■リンク
九州電力

TOPに戻る

関連記事
新刊情報
5G NR(新無線方式)と5Gコアを徹底解説! 本書は2018年9月に出版された『5G教科書』の続編です。5G NR(新無線方式)や5GC(コア・ネットワーク)などの5G技術とネットワークの進化、5...
攻撃者視点によるハッキング体験! 本書は、IoT機器の開発者や品質保証の担当者が、攻撃者の視点に立ってセキュリティ検証を実践するための手法を、事例とともに詳細に解説したものです。実際のサンプル機器に...
本書は、ブロックチェーン技術の電力・エネルギー分野での応用に焦点を当て、その基本的な概念から、世界と日本の応用事例(実証も含む)、法規制や標準化、ビジネスモデルまで、他書では解説されていないアプリケー...