九州電力は2017年6月16日、大分県で新たな地熱資源の調査を実施すると発表した。調査する場所は、熊本県との県境近くにある「涌蓋山(わいたさん)」の東側。地域自治体である大分県玖珠郡九重町に「地熱資源の保護及び活用に関する条例」に従って地熱資源調査を申し入れていたところ、審議の結果6月14日付けで九重町から同意書の交付を受けた。
図 九州電力が今回、地熱資源を調査する地域
出所 九州電力
九州電力によると、この地域は過去の調査で地熱資源の痕跡を確認できている場所だという。京都大学と九州大学と電力中央研究所の共同研究では、この地域周辺の地質構造調査などを実施しており、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)も空中から物理探査を実施している。どちらの調査でも、地熱資源が存在する可能性が高いという結果が出ているため、九州電力は九重町に調査申請を出していた。
今回の調査では地表からの調査を実施する。具体的には重力を測定して地下深部の構造を推定する「重力探査」と、地中の電気や磁気を測定して、岩石の分布や地下構造を推定する「電磁探査」を実施する。並行して、周辺の温泉施設への影響を調査する「温泉等モニタリング」も実施する。調査は7月末、あるいは8月初旬に開始し、重力探査と電磁探査は11月まで続け、1月末までかけて結果を分析、評価する。温泉等モニタリングは7月末あるいは8月初旬から月1回、3月以降まで実施する。
調査の結果、地熱資源が期待できると判明したら、調査井を掘削して、実際に地熱資源の存在を確認する予定だ。九州電力は京都大学などの調査やJOGMECの調査結果から、数千kW級の資源が期待できるのではないかとしている。
ちなみに九州電力は2015年4月に発表した「中期経営方針」で、国内外で地熱発電所の開発を進め、地熱による出力を2030年までに800MW(80万kW)上乗せするという目標を掲げている。その時点で九州電力が運営する地熱発電所の出力合計値はおよそ208MW(20万7960kW)だった。その後インドネシアのサルーラで大規模な地熱発電所の開発を始めている。サルーラでは100MW(10万kW)の出力を見込んでいるという。
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九州電力