東京電力ホールディングス(東電HD)、NEC、グローバルエンジニアリング、積水化学工業、東京電力パワーグリッド(東電PG)、東京電力エナジーパートナー(東電EP)、東光高岳、日立システムズパワーサービスなど20社は2018年6月6日、MW級の調整力を持つ大規模VPP(Virtual Power Plant)の構築と実証を開始したと発表した。住宅や企業にある定置型蓄電池、給湯設備、太陽光発電設備、電気自動車などの電力設備を束ねて、太陽光発電や風力発電などの不安定な発電電力を吸収することを狙う。
今回の実証では、住宅や企業と契約して電力設備を制御する「リソースアグリゲーター」と、複数のリソースアグリゲーターが集めた調整力を束ねて巨大な調整力として送電事業者などに提供する「アグリゲーションコーディネーター」の2種類の役割を各社が分担する。
図 今回の実証の内容と役割分担。図中央の「AC」はアグリゲーションコーディネーターを指す
出所 東京電力ホールディングス
アグリゲーションコーディネーターは、東電HD、グローバルエンジニアリング、NECの3社が担当し、リソースアグリゲーターは、ONEエネルギー、NTTファシリティーズ、大崎電気工業、ファミリーネット・ジャパン、ネクストエナジー・アンド・リソース、京セラ、日揮、エフィシエント、三菱UFJリース、静岡ガス、エリーパワー、エネルギー・オプティマイザーの12社が担当する。東電PG、東電EP、東光高岳、積水化学工業、日立システムズパワーサービスの5社は実証協力事業者として参加する。
この実証は2016年から準備を始めており、アグリゲーションコーディネーターの要件定義やVPPのシステム作りを続けていた。試作システムの改良を続け、指令後5分以内のデマンドレスポンスに対応する機能を実装し、調整力として利用できる電力設備を増やし12.4MW(1万2400kW)を超える設備を確保した。また、今回実証する事業の損益分岐点を分析し、ある一定の条件を前提に単年の損益分岐点を超えるには、数十MWほどの調整力が必要であることも算出したという。
実証に参加する各社は、今回の実証で得たさまざまなデータを分析して、VPPシステムに制御量調整機能や、市場価格連動制御機能などを追加で実装するとしている。また、今回の実証は経済産業省の「平成30年度需要家側エネルギーリソースを活用したバーチャルパワープラント構築実証事業費補助金(VPPアグリゲーター事業)」の採択を受け、補助金を活用して実施する。
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