トヨタ自動車は2018年6月13日、シンガポールGrab Holdingsと協業することを発表した。さらに、Grab Holdingsに10億ドル(約1100億円)を出資し、幹部人材2名を派遣した。2名はそれぞれGrab Holdingsの取締役と執行役員に就任した。トヨタ自動車は今後さらに人材交流を活発にさせていくとしている。
Grab Holdingsは東南アジア8カ国217都市で個人の乗用車を利用したライドシェアとタクシー配車サービス、レンタカーサービスを展開しており、東南アジアでは大手となっている。また、2018年3月には同地域でライドシェアなどのサービスを提供していたアメリカUberから事業の譲渡を受けており、シェアをさらに拡大させている。
今回の協業で、トヨタ自動車はGrab Holdingsのレンタカー車両をコネクテッドカーに転換し、トヨタ自動車が構築したコネクテッドカー向け情報基盤「Mobility Service Platform(MSPF)」にレンタカー車両のデータを集め、走行データ連動型自動車保険や、Grab Holdingsの車両の利用者に向けた金融サービス、車両のメンテナンスサービスなどを開発し、東南アジア全域に普及させることを狙う。
図 トヨタ自動車がGrab Holdingsとの協業で開発を目指すサービス群の例
出所 トヨタ自動車
今回の協業に先立って、トヨタ自動車はGrab Holdingsが運用するレンタカー車両100台に法人向け通信端末「TransLog」を取り付け、走行データをMSPFに送信/蓄積し、コネクテッドカー向けサービスの開発を進めている。すでに現地の保険会社と協業し、Grab Holdingsのレンタカー全車両に走行データ連動型自動車保険を提供している。
今回の合意を機に、これまで開発してきたサービスを東南アジア全域に普及させるだけでなく、将来の新たなサービスの開発や、MaaS(Mobility as a Service)向けの車両の開発を検討するとしている。