三井不動産と日建設計は2018年7月20日、千葉県柏市の「柏の葉スマートシティ」に冷涼な環境を提供するクールスポット「COOL TREE」を設置したと発表した。COOL TREEは柏の葉スマートシティ内のコミュニティ広場「かしわのはらっぱ」に設置し、試験運用と屋外での耐久性確認のため2019年9月まで設置する。
図 コミュニティ広場「かしわのはらっぱ」に設置した「COOL TREE」
出所 三井不動産
COOL TREEは日建設計、銘建工業、光栄、村田製作所の4社が共同で開発したもの。日光を遮る屋根の部分に太陽光発電モジュールが備わっており、これで発電した電力で動作し、他の電源は不要だ。人が近づくとセンサーがそれを検知して、軒先から比較的粒径が大きいミストが吹き出し、ミストが蒸発する際の気化熱で周囲の空気を冷やす。また、中央のベンチに人が座ると、身体を濡らさない程度の微細なミストを首筋や背中に吹き付ける。
さらに、ベンチの座面にはペルチェ素子が仕込んである。電圧をかけて電流を流すと、一方の表面からもう一方の表面に熱を移動させる効果を持つ電子部品だ。この効果を利用してベンチ表面の温度を下げる。座った人は身体を冷やすことができる。
図 「COOL TREE」が備える機器群
出所 三井不動産
屋根に設置してある太陽光発電モジュールは、晴天時なら1日あたり約10kWhの電力を発電する。発電した電力は蓄電容量2.5kWhの蓄電池に充電し、センサーが人を感知したときなど、必要なときに限ってこの電力を使用する。
COOL TREEは高さ3m、直径7.7mで、上から見ると正六角形となっており、複数のCOOL TREEを並べるときも配置しやすい形になっている。木材をボルトで接合するだけで組立可能となっており、最短1日で組み立てや解体が可能。1度解体してもほかの場所に運んで組み立てれば同じように使える。
中央の柱と屋根の部分には国産のヒノキ間伐材を、基礎部分には長細い板材(ラミナ)を木材の繊維が直交するように積層した直交集成板(CLT:Cross Laminated Timber)を採用している。繰り返し使用し、損傷して廃棄する際には木材部分をすべて砕いて木質チップを作り、木質バイオマス発電に利用するという。