国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は2018年8月23日、風力発電設備の稼働率向上を目的としたシステムの開発を始めたと発表した。ヨーロッパやアメリカと比べると、日本では台風や落雷などの自然災害で風力発電設備が停止する可能性が高く、運転維持にかかるコストも高額になる傾向がある。そこで、過去のデータからの故障時期予知や、過去の故障・事故事例から早期復旧に役立つ情報などを提供するシステムを開発し、風力発電設備の稼働率引き上げを狙う。
図 日本の風力発電所は自然災害による事故で停止することが多い。写真は東京電力ホールディングスの東伊豆風力発電所
出所 東京電力ホールディングス
今回構築するシステムは、過去の風車運用データや故障・事故情報に加えて、各種センサーでリアルタイムで収集する風力発電設備の運転状況データをデータベースに蓄積する。リアルタイムの運転データや過去のデータをAI(人工知能)で分析して、故障時期を予測する。また、故障発生時は早期復旧に役立つデータを過去の故障・事故情報から検索して提示する。現在、日本の風力発電設備の稼働率は87%だが、NEDOは今回開発するシステムによって97%以上に引き上げることを狙っている。
NEDOはまず、このシステムを設計して事業として成立する可能性を評価する。良い評価が出たらシステムを構築し、実際の運用を開始する予定だ。ちなみにこのシステムはNEDOの「風力発電等技術研究開発/風力発電高度実用化研究開発/風車運用高度化技術研究開発」事業で開発する。事業期間は2018年度から2020年度。風力エネルギー研究所、国立大学法人東京大学、国立研究開発法人産業技術総合研究所、学校法人中部大学の4団体に委託する。