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日立製作所、スロベニアでクラウド型エネルギー管理システムを実証―送電安定化機能を提供

2018/09/25
(火)
インプレスSmartGridニューズレター編集部

日立製作所は、スロベニアの国営送電事業者である「ELES, d.o.o」と共同で、「クラウド型エネルギー管理システム(Advanced Energy Management System)」。の実証を2018年10月からスロベニアで始めると発表した。

日立製作所は2018年9月25日、スロベニアの国営送電事業者である「ELES, d.o.o」と共同で、「クラウド型エネルギー管理システム(Advanced Energy Management System)」。の実証を2018年10月からスロベニアで始めると発表した。日立製作所とELES, d.o.oはこれまでもスマートコミュニティ実証事業を共同で進めており、今回の実証はその延長という位置付けになる。

スロベニアでは製造業が盛んで、EU域内有数の勢いで経済成長を続けている。それに伴い、電力需要が増加しているが、配電会社の設備は老朽化が進みつつある。また、スロベニアは2020年までに消費エネルギー量の25%を再生可能エネルギーに転換し、エネルギー効率を20%改善する目標を公表している。

つまり、今後スロベニアでは老朽化が進む設備に再生可能エネルギーによる電力を大量に流さなければならないということになる。設備は必要に応じて更新していくとしても、更新工事はすぐに終わるものではない。そのような状況で、再生可能エネルギー電力を送電網に流しながら、電圧変動、停電、過負荷、調整力・予備力確保などの問題を解決していかなければならないわけだ。

今回は、クラウド上に構築するシステムでアイランディング、瞬時電圧低下、暗視らしーサービスの3種類の異常に対応する。アイランディングとは事故などで送電網が切れ、孤立した地域内で発電設備が動作し続けることを指し、この状態が続くと長時間停電に至ることもある。

今回実証するシステムでは、停電時に配電系統の制御システム(DMS:Distribution Management System)と連携し、病院などの災害時に重要となる拠点が存在するエリアを送電系統から切り離し、定置型蓄電池から電力を供給することで、アイランディングの発生に対応し、発生したとしてもその影響が病院などに及ぶことを防ぐ。ちなみに、今回使用するDMSもクラウド上の構築したもの。日立製作所とELES, d.o.oが2016年11月~2019年12月の予定で実証を進めているものだ。

図 今回の実証実験の範囲(オレンジ色の部分)

図 今回の実証実験の範囲(オレンジ色の部分)

出所 日立製作所

また、落雷や降雪などの自然災害が原因で発生する瞬時電圧低下については、発生をいち早く検知し、事故発生地点のそばに配置する定置型蓄電池から電力を放出して電圧低下を防ぐ。

アンシラリーサービスとは、送電網の送電電圧が何らかの原因で変動し、安定しなくなってしまうことに対応するサービスだ。今回のシステムでは、各地に分散配置した定置型蓄電池と、需要家が設置したxEMS(FEMS:Factory Energy Management System、BEMS:Building EMS、HEMS:Home EMS)と連携して、周波数制御に必要な調整力を確保し、送電事業者に提供する。

実証の期間は2018年10月~2021年3月の予定。この事業は日立製作所が国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託を受けて実施する。


■リンク
日立製作所
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構

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