Daimlerは2018年12月12日(中央ヨーロッパ時間)、傘下のMercedes-Benz Carsがノルウェーの再生可能エネルギー業者であるStatkraftから風力発電所で発電した電力を買い取る契約を締結したと発表した。ドイツ国内の風力発電所の中でも、固定価格買取制度(FIT:Feed-in Tariff)による買取り期間が終了した6カ所の風力発電所からの電力を買い取り、発電所の有効活用を狙う。
図 Bassum wind farm。Mercedes-Benz Carsに電力を供給する6カ所の風力発電所のうちの1つ
出所 Daimler
Mercedes-Benz Carsに電力を供給する6カ所の風力発電所は、ドイツ政府が制定した再生可能エネルギー法(EEG:Erneuerbare-Energien-Gesetz)を利用して20年間にわたって固定価格で売電していた。ドイツ国内ではEEGによる固定価格買取制度を利用している風力発電所が多く、買取り期間の終了を目前に控えている発電所も少なくない。2021年1月にはおよそ6000の風力発電所が買取り期間終了を迎え、その後は1年におよそ1600の風力発電所の買取り期間が終了するという。
Statkraftドイツ支社の責任者であるCarsten Poppinga博士は今回の契約について「市場を見極めて、再生可能エネルギーによる電力を求める顧客を探し、発電所の運用方法の効率を改善していけば、固定価格買取制度に頼ることなく風力発電所の運営を続けられることを示す好例になるだろう」と語っている。
Statkraftは、ニーダーザクセン州の州都であるハノーファーから半径およそ25kmの地域に点在する6カ所の風力発電所で発電した電力をMercedes-Benz Carsに提供する。この電力はMercedes-Benz Carsが電力供給契約を結んでいるルクセンブルクEnovosの送電網を通して送る。Enovosは受電した電力量の測定と電力料金の計算も担当する。
Mercedes-Benz Carsは、風力発電所で発電した電力を電気自動車「EQC」を製造するブレーメンの工場や、EV用蓄電池パックを製造しているカーメンツやウンターテュルクハイムの工場などで消費する。今回の契約では、2021年に合計33.1GWh(3310万kWh)、2022年から2024年の間は年間合計74GWh(7400kWh)、2025年には合計21.8GWh(2180万kWh)を供給することで合意した。
Daimlerは2018年5月、ドイツ国内にあるMercedes-Benzブランドの全8工場で2022年から電力による二酸化炭素排出をゼロにすると発表している(参考記事)。