Daimlerは2017年9月12日(ドイツ時間)、開催中のフランクフルトモーターショー(IAA:International Motor Show)の報道関係者向け発表会で、新しい電気自動車(EV)のコンセプトモデル「Mercedes-Benz Concept EQA」を公開した。Mercedes-Benzブランドの「Aクラス」に相当するコンパクトカーになっており、手頃な価格で提供することを想定していると考えられる。
図 Daimlerが発表会で披露した「Mercedes-Benz Concept EQA」
出所 Daimler
Daimlerの取締役で中国事業を担当しているHubertus Troska氏は「Mercedes-Benzの自動車を初めて買うという消費者は、コンパクトカーから入ることがほとんどだ。これは世界中で共通している。ヨーロッパ各国では、Mercedes-Benzブランドの車両の販売台数のうちだいたい70%がAクラスだ。アメリカにおいては、CLAクラスの所有者の半分以上が『これが自分にとって初めてのMercedes-Benzブランドだ』と答えている。そして中国はGLAクラスの世界最大の市場となっている」と、Mercedes-Benzブランドにおけるコンパクトカーの役割の大きさを強調している。Daimlerは、Mercedes-Benz Concept EQAが「初めてのMercedes-Benzブランド」「最もよく売れるMercedes-Benzブランド」という役目を担うと期待しているのだろう。
Mercedes-Benz Concept EQAは、前後の車軸に1つずつモーターを搭載する4輪駆動車となっており、最大出力272馬力(200kW)、最大トルク500Nmの性能を発揮する。停車状態から100km/hにおよそ5秒で加速するとしている。“Sport”と“Sport Plus”という2種類の動作モードを設定しており、切り替えることで前後モーターのトルクの分配を変える。その結果、加速力などが変わる。
内蔵蓄電池は蓄電容量60kWh以上のリチウムイオン蓄電池。本体底部の前後車軸の間に配置し、車両の重量バランスを最適な形にしている。満充電状態からの走行距離はヨーロッパ標準であるNEDC(New European Driving Cycle)で400kmほど。一般的な充電方法に加えて、電磁誘導を利用した無線充電にも対応する。急速充電器を利用すると、10分で100kmほど走行可能な電力を充電できるという。
DaimlerはMercedes-Benz Concept EQAの量産開始時期を明言していない。しかし、2016年9月のパリモーターショーで公開した「Mercedes-Benz Concept EQ」を基にした新車種の量産を2019年から始めることが決まっている。今回のMercedes-Benz Concept EQAを基にした車種の発売時期も近いと考えられるだろう。
発表会ではほかに、カーシェアリング向けEVのコンセプトカー「smart vision EQ fortwo」(参考記事)や、プラグイン燃料電池車「Mercedes-Benz GLC F-CELL」(参考記事)も公開した。
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Daimler