2018年12月15日、ポーランド南部のカトヴィツェ(Katowice)市で開催中だった国連気候変動枠組条約第24回締約国会議(COP24)が閉幕した。当初は12月2日から14日までの開催を予定していたが、各国の利害が衝突し合意までに時間がかかった。そのため、会期を15日まで延長して、ようやく各国の同意を得られた。
図 ポーランドの環境副大臣であるMichał Kurtyka氏。自国開催となったCOP24で議長を務めた
© cop24.gov.pl
今回のCOP24の主要な議題は、2020年以降の温室効果ガス抑制に向けた「パリ協定」の詳細な実施ルールだ。パリ協定は2015年12月にフランス・パリで開催された「COP21」で各国が合意したもの。世界の気温上昇を産業革命以前と比較して平均で2℃未満に抑え、さらに1.5℃にとどめるように努力するという目標を掲げている。
この目標を達成するには、可能な限り早期に世界の温室効果ガス排出量を減少傾向とし、温室効果ガス排出量と、森林などが吸収する量をバランスさせる必要がある。そこでパリ協定では、すべての参加国と地域に2020年以降の「温室効果ガス削減・抑制目標」を定めるよう求めている。さらに、長期的な「低排出発展戦略」を作成、提出し、戦略実行のために努力すべきと定めている。
今回、各国の同意を得たパリ協定実施ルール「Katowice Climate Package」では、参加各国、各地域が温室効果ガス削減・抑制目標と、目標達成のための対策に関する情報をどのように提供するかを定めている。その情報には、削減量の測定結果も記録しなければならない。先進国、途上国問わず、同じルールに従う。ただし途上国は先進国などから温室効果ガス削減対策として金銭的支援を受けることもできる。支援を受けたら、その詳細な内容も記録する必要がある。そして今回のCOP24で、数多くの先進国が途上国への金銭的支援を約束した。
COP24の議長を務めたMichał Kurtyka(ミハウ・クリティカ)氏は「Katowice Climate Packageで、2020年以降のパリ協定実施ルールの基盤を作ることができた」と成果を振り返っている。
COP24では積み残しとなった課題もある。そのうちの1つが、各国、各地域が温室効果ガス削減・抑制目標を達成するために、CO2排出量を取引する市場を利用する方法だ。大多数の国と地域が、市場を利用することに前向きだったが、その詳細な方法については同意に至らなかった。
積み残しとなった課題は、2019年にチリで開催予定のCOP25で議論する予定。