ポーランドのカトヴィツェで開催されたCOP24において、パリ協定をどのように実施していくかを決める、詳細な「パリ協定の実施ルール」(140頁)が、参加197カ国・地域で合意された(写真参照)。当初は2018年12月2日〜14日であった会期を1日延長して12月15日まで開催し、合意に至った。
写真 COP24の閉幕を迎えてジャンプするミハウ・クリティカ(Michał Kurtyka)COP議長(2018年12月15日)
パリ協定は、2015年12月12日、フランスのパリで開催されたCOP21において採択された地球温暖化対策の枠組みであり、2016年11月4日に発効され、2020年から始動する。
この協定は、産業革命(1750年前後)前から比べて気温上昇を2℃未満に抑える(可能な限り1.5℃未満に抑える努力をする)ことを目的として、「21世紀後半に、世界全体で温室効果ガスの排出を実質ゼロにする」目標を世界全体で共有するという内容である。日本は、中期目標として2030年度までに、2013年比で26%の室温効果ガスを削減するとともに、長期目標として2050年までに80%の削減を国連に提出している。
しかし、COP24に先立って、2019年10月8日、気候変動に関する政府間パネル(IPCC:Intergovernmental Panel on Climate Change)から発表された特別報告書『1.5℃の地球温暖化』(Global Warming of 1.5℃)によると、世界の平均気温は産業革命前からすでに1℃上昇しており、現状では2100年に3℃上昇するペースとなっていると指摘している。このままでは、2030年から2052年に1.5℃上昇すると予測した。このため、現在の各国の削減目標では、「2℃目標」の実現は困難であると分析している。
2020年のパリ協定のスタートの年に、各国は削減目標を引き上げる必要に迫られている。