全日本空輸と日本航空は2019年1月7日、サンフランシスコ国際空港でバイオジェット燃料を試験的に利用すると発表した。全日本空輸はアメリカのバイオ燃料製造企業であるWorld Energyが製造したバイオジェット燃料を昭和シェル石油から購入する。購入量は約265キロリットル。日本航空は製造元と購入量は公表していないが、全日本空輸と同じく昭和シェル石油からバイオジェット燃料を購入し、2019年1月末まで使用する。両社とも、バイオジェット燃料を既存のジェット燃料に混合して、サンフランシスコ国際空港から日本に向かう便に給油する。
図 全日本空輸と日本航空はサンフランシスコから日本に向かう便でバイオジェット燃料を試験的に使用する
出所 全日本空輸 日本航空
全日本空輸は成田国際空港に向かう便に、日本航空は東京国際空港(羽田)に向かう便にバイオジェット燃料を給油する。機体はどちらもボーイング777-300ERだ。全日本空輸によると、同社が購入するWorld Energy製のバイオジェット燃料は使用済みの食用油から精製しているもので、既存のジェット燃料と同一の規格に適合することを示す証明を取得しており、性能も既存のジェット燃料とほとんど変わらないという。そして、今回購入したおよそ265キロリットルのバイオジェット燃料を使用することで、既存のジェット燃料に比べてCO2排出量を約150トン削減できる見込みだ。
ロサンゼルス国際空港では2016年から2年半以上にわたって、航空各社が共同で使用する燃料タンクにバイオジェット燃料と従来のジェット燃料を混合して保管し、航空機に提供している。サンフランシスコ国際空港でも同じように、各社が使用するタンクに従来のジェット燃料と混合する形で貯蔵して、航空機に給油する形を採る。
日本航空は2018年9月に丸紅や海外交通・都市開発事業支援機構と共同で、アメリカのバイオジェット燃料製造会社であるFulcrum BioEnergyに出資しているほか(参考記事)、2009年1月にはアジアで初めて非食品系バイオジェット燃料を使用した試験飛行を実施している。さらに、2017年11月にはシカゴ・オヘア国際空港から成田国際空港に向かう便は、既存のジェット燃料にバイオジェット燃料を5%混合したものを燃料として運航した。
国際民間航空機関(ICAO:International Civil Aviation Organization)は国際航空分野でCO2排出量を削減していく方針を示している。全日本空輸、日本航空の両社ともこの方針に従って、今後もバイオジェット燃料の試験を続けるとしている。