竹中工務店は2019年2月18日、燃料電池車(FCV)から建物に電力を送るV2B(Vehicle to Building)の実証に成功したと発表した。加えて、複数のFCVの状態に応じてそれぞれ総電量を変えながらのV2B運用にも成功したという。
図 複数のFCVからの電力を建物に供給した
出所 竹中工務店
今回の実証は、竹中工務店の東京本店がある江東区新砂地域で実施した。同地域に存在する竹中工務店関連施設に設置したさまざまな発電、蓄電機器などを制御して、発電量が不安定な再生可能エネルギー電力を使い切ることを目的とした実証の一部だ。
竹中工務店はクラウドで動作するエネルギーマネジメントシステム「I.SEM」を開発しており、これまでこのシステムを活用して太陽光発電設備、定置型蓄電池、ガス発電機、電気自動車(EV)、水素製造装置、燃料電池などの機器を制御してきた。今回の実証成功により、FCVが発電する電力をビルのデマンド制御や、停電時に避難拠点などに電力を届けることが可能になった。竹中工務店はこれまで、同様の実証をEVやプラグインハイブリッド車(PHEV)で実施している。
竹中工務店は再生可能エネルギーを最大限活用する街区「竹中脱炭素モデルタウン」構想を掲げている。ビルなどの設置した太陽光発電設備や定置型蓄電池、太陽光や風力で発電した電力で運転する水素製造施設などと、EV、FCVなどの電動車を活用して、再生可能エネルギーを発電設備を設置した建物だけでなく、ほかの建物でも再生可能エネルギーを活用する街を作る構想だ。今回の実証もこの構想の実現に向けたものと言える。
図 竹中工務店が掲げる「竹中脱炭素モデルタウン」構想
出所 竹中工務店
竹中工務店は今後も構想実現に向けて多様な実証を実施し続けていくとしている。そして、新砂地域で実証に使用している施設は、建築主や関係省庁、自治体などに向けた見学施設として活用する。また、自治体などに向けて水素ステーションを地域のエネルギーステーションとして活用する構想をアピールし、V2Bシステムを提案するなどの活動を進めるとしている。
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竹中工務店