Audiは2019年3月6日(中央ヨーロッパ時間)、同社のプラグインハイブリッド車(PHEV)で使用済みとなったリチウムイオン蓄電池を、工場内で運用している車両で試験的に再利用を始めたと発表した。同社の工場ではフォークリフトは牽引車などの電動の車両が稼働しているが、電源は大型の鉛蓄電池。充電した電力が切れたら、重さ2トンにもなる鉛蓄電池を車両から引き出し、充電器に接続しなければならなかった。しかも充電には7~8時間かかるため、その間は業務が長時間止まってしまうということもあるという。
図 鉛蓄電池に代えて、リチウムイオン蓄電池を搭載した牽引車
出所 Audi
Audiは、使用済みリチウムイオン蓄電池の再利用のために製造部門や物流部門、開発部門からメンバーを集め、現在でもさまざまな形での再利用法を研究している。そのチームは、使用済みのリチウムイオン蓄電池をモジュール単位で分解して点検し、一部を除いて業務用車両に向けた「トレイ」にモジュールを組み込む。このトレイは従来から使用している鉛蓄電池と同一の形状となっており、差し替えるだけで使用できる。
一部の工場業務用車両の電源を、リチウムイオン蓄電池に差し替えたところ、充電のたびに電池を引き出さずに、車両に直接充電器を接続すれば良いので作業が楽になったとの声が上がったという。さらに、鉛蓄電池と比べると充電が短い時間で終了するので、シフト間の休憩や、工場の休止時間帯に充電でき、充電時間が業務を邪魔することもなくなったという。
現在はリチウムイオン蓄電池に入れ替えた複数の車両を試験的に使用している段階だが、Audiはほかの再利用法も研究しているという。例えば電気自動車向けの移動式充電器や、定置型蓄電池への転用などについて研究している。さらに蓄電容量が少なくなり、寿命を迎えたリチウムイオン蓄電池は、分解して再利用可能な金属などを取り出して、新しい製品に組み込むとしている。
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