東京電力パワーグリッド(東電PG)、KDDI、ソフトバンク、楽天モバイルネットワークの4社は2019年3月19日、東電PGが運用している電柱などの設備を携帯電話の基地局を設置する場所として共用する実証を2019年度上期から実施すると発表した。これまで、東電PGはKDDIの協力を得て、電柱などを基地局設備を設置する場所として携帯電話事業者間で共用することを検討しており、準備が整ったことからソフトバンクや楽天モバイルネットワークも参加して実機を使った実証を始める。
図 複数の携帯電話事業者が1本の電柱を共用して、基地局などの設備を設置する
出所 楽天モバイルネットワーク
今回の実証は「5G(第5世代移動通信システム)」を強く意識したものだ。5Gでは通信速度が現状よりも大幅に上がるが、周波数が高い電波を使用する。この電波はあまり遠くまでは届かない上、障害物があると、そこで電波が途絶えてしまうことが多い。
そのため、5Gの商用サービスを開始するには現状に比べて大量の基地局を設置する必要がある。しかし、基地局が増加すると設置場所の確保が困難になる。さらに、景観を損ねる可能性もある。
そこで、すでにある電柱などを基地局設置場所として、携帯電話事業者が共用することで、設置場所を確保し、景観を損ねる可能性を最小限に抑えようという狙いがある。さらに、電柱を基地局設置場所として共用することで、都市部では基地局設置計画を柔軟に立てられるという。また地方では、サービスを早期に開始できるという効果も期待できる。
今回の実証では、電柱上に基地局を設置する上で必要な資材と機材と、施工の難易度を評価する。さらに、設置後の保守の難易度や、アンテナを共有することによる電波の干渉状況も評価するとしている。今回実証に取り組む4社は、今後5Gの活用を予定している企業にも声をかけ、実証への参加を呼びかけている。