伊藤忠商事は2019年3月28日、小売店舗や工場などの屋根に無償で太陽光発電システムを設置し、発電した電力を建物の所有者に長期契約で供給する「太陽光分散電源事業」を日本とタイで開始すると発表した。日本での事業展開のために、太陽光分散電源を比較的多く所有しているVPP Japanと資本業務提携契約を締結した。VPP JapanはNTTドコモが全国で運営している「ドコモショップ」の屋根に太陽光発電システムを導入する事業で、パートナーの1社として選ばれている。また、伊藤忠商事のほかに電源開発や関西電力グループのK4Venturesなどが出資している。
図 VPP Japanは屋根を借りて無償で太陽光発電システムを設置し、発電した電力を建物の所有者に提供する事業を進めている
出所 伊藤忠商事
VPP Japanは2020年度中に出力合計にして100MW(10万kW)分の太陽光発電システムを分散電源として保有することを目指している。伊藤忠商事は同社グループや、顧客と協力してVPP Japanの事業拡大を支援するほか、地域に根ざした小売店舗などを生かして、独自のVPP(Virtual Power Plant)を構築することを目指す。
タイでは、現地の太陽光発電事業者Symbiorと提携する。同社は伊藤忠商事のタイ法人と共同で太陽光発電所開発などを進めている業者だ。今回の事業では、Symbiorが果物の缶詰などを製造しているDole Thailandと15年間の長期電力供給契約を締結する。そして、SymbiorがDole Thailandのホアヒン工場の敷地内に太陽光発電設備を設置し、発電した電力をDole Thailandに公共電力料金よりも低価格で提供する。
ホアヒン工場の太陽光発電システムは、工場の屋上に設置する。設置面積は約1万8000m2で、最大出力は3MW(3000kW)。伊藤忠商事は年間発電量を4.5GWh(約450万kW)と見込む。設備利用率は約17.1%に達する。タイの一般世帯の年間電力消費量にして約2500世帯分に相当し、年間約2000トンのCO2排出量削減効果を見込めるという。
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伊藤忠商事