[標準化動向]

IPTVの標準化動向(9):「IPTVアーキテクチャ」が勧告化の手続きへ

2008/06/12
(木)
SmartGridニューズレター編集部

ITU-Tの「FG IPTV」では、IPTVの標準化に向けて1年半にわたる審議を行ってきたが、このFG IPTVは2007年12月をもって活動を完了した。今後、このFG IPTVの成果を受け継ぎ、勧告化へ向けた作業や残された課題は、2008年1月に発足した「IPTV-GSI」に引き継がれ、すでに第1回が開催された。2008年4月30日から5月7日まで、ジュネーブのITU本部にて開催されたIPTV-GSI第2回会合では、いよいよIPTV標準の柱となる「IPTVアーキテクチャ」文書の勧告化の承認手続きが開始された。

≪1≫IPTVアーキテクチャがいよいよ勧告化への承認手続きへ

2008年4月30日から5月7日まで、ジュネーブのITU本部にて開催されたIPTV-GSI第2回会合には、84名が参加。中国、韓国、日本からの出席者がそのうちの半数程度を占めた。寄書も76件と多く、ひきつづきIPTVの標準化への勢いが高い状況となっている。

今回のIPTV-GSI第2回会合で、IPTVの「アーキテクチャ」という、IPTVの柱となる大きな勧告文書が、ほぼまとまった。「アーキテクチャ」の文書は、今回のIPTV-GSI第2回会合のあとに開催されるSG13の各種ワーキング・パーティ(WP)会合で、最終的なレビューが行われ、問題がなければ勧告を承認する手続きにうつる。

承認手続きは、TAP(※)とAAP(※)の2種類あり、「アーキテクチャ」はAAPで進められる。

TAPは、従来からある通常の勧告を承認する手続き(全会一致制)である。TAPでは「デタミネーション」と「ディシジョン」というSGの会議2つを経て、正式な勧告を作る。

一方、AAPは、SGかWP(ワーキング・パーティ)で1回(コンセント)と、「ラストコール」という4週間のレビュー期間を設け、ITUのWebサイトに掲載し、何もコメントがなければ、そのまま成立(反対1まで許容)し、コメントがあれば、その後解決していくという手順を踏む。このAAPのSGや標準化のWPの承認手続きを「コンセント」という。(図1

AAPの「コンセント」とTAPの「デタミネーション」を終えると、いちおう議論としては終わったとみなせる。

TAP:Traditional Approval Process、従来の承認手続き。世界電気通信標準化会議(WTSC)の決議1(注:WTSCは現在、WTSAに名称を変更)で規定されているITUにおける承認制度である。勧告案ができてから承認に至るまで約9カ月を要し、基本的に全会一致制で1国でも反対があれば勧告(標準化)にならない。現在、ITU-T(国際電気通信連合 電気通信標準化部門)では、政策的な勧告、制度的な勧告に適用される。
AAP:Alterative Approval Process、代替承認手続き。現行のITU-T勧告の90%以上を占める「技術的な勧告」に限って適用される制度である。ITU-Tの総会「2000年世界電気通信標準化総会(WTSA-2000)」(2000年9月、カナダ)で、AAPの勧告「A.8」が同意され、最短では4週間で承認が可能となった。さらに、WTSA-04(2004年ブラジル)で、AAPに限り2カ国以上の反対がなければ、勧告として承認されることになった。


図1 「IPTVアーキテクチャ」の承認手続きの流れ

≪2≫IPTVの「アーキテクチャ」の構成

今回のIPTV-GSIでは、IPTVの標準化の要の1つである、「アーキテクチャ」の議論が終了し、具体的な承認手続きに進んでいる。文書の具体的な内容は、IPTVの各機能の定義や機能間のインタフェースの定義である。

IPTVの「アーキテクチャ」は、この図2に示すように、左側から

(1)IPTV端末機能
(2)ホーム・ネットワーク機能
(3)アプリケーション機能
(4)サービス制御機能
(5)コンテンツ配信機能
(6)ネットワーク機能
(7)管理機能
(8)コンテンツ・プロバイダ機能

などで構成されている。


図2 IPTVのアーキテクチャ〔「TD86(IPTV-GSI)」より引用〕(クリックで拡大)

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