≪3≫ホーム・ネットワークのQoS
ホーム・ネットワークのQoSも重要なテーマである。このテーマについては、SG16のQ.24で検討することとなった。これは、IPTV-GSIでの議論を2008年9月にコンセントしたいと考えると、今から新規の課題を上げるには時間がないという事情からだ。
ホーム・ネットワークのQoSについては、IPレベルのQoS(DSCP ※)を中心に考えると分かりやすい。ホーム・ネットワークのQoSの仕組みを、図5に示す。
※DSCP:DiffServ Code Point。DiffServに対応したルータなどが、どのような優先順位(のクラス)でトラフィックを処理すればよいかを判断するためにIPパケット内に書き込まれた、クラス分けした値のこと
※DiffServ:Differentiated Services、ディフサーブ。送受信する複数のいろいろなトラフィック(サービス)の種類(音声・データ・画像など)を識別し、そのサービスが必要とする優先順位を決めて通信品質を保証する仕組み
※HPNA:HomePNA、Home Phoneline Networking Alliance。家庭内の電話線を用い、インターネット接続を行うための規格。非営利団体Home Phoneline Networking Allianceが規格を推進し、ITUにより標準化が進められている
図5に示すAとDのそれぞれのインタフェースで、
(A)DSCPと各種アプリケーション、プロトコルの間の優先度
(D)DSCPとリンク層の間の優先度
を決める。
例えばIPTVのEPG(電子番組表)やVoDのECG(Electronic Content Guide、VoDのポータル画面)などの場合、IPTVと一体のサービスなので、通常のベストエフォートよりももう少し高い優先度が必要となる。このように、利用するアプリケーションに応じた優先度を分けるのがAのインタフェースとなる。
次に、図5のDのインタフェースの位置にみるように、ホーム・ネットワークには、Ethernetだけではなく、無線LANやPLCなどさまざまなネットワーク機器で接続されている。こうした機器は、必ずしもDSCPには対応していない。また、DSCPに対応していなくても、レイヤ2(データリンク層)のマーキングとDiffServのマーキングが対応していれば問題ないが、規格によって異なることがあり、きちんと対応しているとは限らない。Dのインタフェースが完全に標準化されると、専門知識のない人が一般的な無線LANの端末やハブ(集線装置)をつなげても、レイヤ2レベルでは一貫したポリシーのもとで動いているので、一定のQoSを出すことができる。
今後の作業方法としては、技術レポートを作成していく。技術レポートは1年ぐらいで作り、その後、勧告化する場合は、長期的に取り組むことになるかもしれない。重要なのは、中身をきちんと作ることである。
このテーマについては、国内的では、TTC(社団法人 情報通信技術委員会)も議論している。
≪4≫今後の予定
次回のIPTV-GSI第3回会合は、2008年6月23日~27日、ジュネーブで開催される。
第4回会合は9月第1週、最終回は12月第1週に開催予定となっている。