三菱重工業、三菱電機、三菱商事パワー、東京電力ホールディングス、常磐共同火力の5社は2016年10月20日、福島県いわき市と福島県双葉郡にそれぞれ石炭火力発電所を建設するため、事業会社2社を設立した。設立した会社の名称は「勿来IGCCパワー合同会社」と「広野IGCCパワー合同会社」。
両社が建設する石炭火力発電所は、世界最先端の技術を投入した「石炭ガス化複合発電(IGCC)」という方式のもの。この方式では石炭を直接燃焼させることはなく、石炭の微粉末を加熱することで可燃性のガスを取り出し、硫黄化合物など大気を汚染する物質を除去してから燃焼させる。ガスタービンを回転させて発電しながら、高温の排ガスを利用して蒸気を作り、その蒸気でもタービンを回す。いわゆるコンバインドサイクルだ。
さらに、石炭の微粉末から取り出したガスは高温になる。この熱も利用して蒸気を作り、タービンを回して発電する。石炭火力発電所よりも効率が高く、石炭を直接燃焼させるわけではないので、大気を汚染する物質の排出量も少ない。今回建設する発電所は、次世代の石炭火力発電所とも言えるだろう。
建設する発電所の最大出力はそれぞれ54万kW。勿来IGCCパワーは、常磐共同火力が保有する勿来発電所の隣接地に、広野IGCCパワーは東京電力フュエル&パワーが保有する広野火力発電所に発電所を建設する。運転開始はそれぞれ勿来が2020年9月、広野が2021年9月の予定。
図 勿来IGCCパワーが建設する発電所の完成予想図
出所 常磐共同火力
図 広野IGCCパワーが建設する発電所の完成予想図
出所 常磐共同火力
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常磐共同火力