日立システムズ、トミス、イートラストの3社は2017年3月16日、LPWA(Low Power Wide Area)通信技術を利用したマンホールの防犯システム構築に向けて、新潟県新潟市で実証実験を実施したと発表した。マンホールの蓋の裏に爆弾などの危険物を隠すなどのテロ行為を防ぎ、設備点検の作業員が安全に作業できることを確認できるシステムの構築を目指している。
今回はマンホールの蓋の下にLPWAの通信機をぶら下げて、離れた場所にある受信機と通信できるかどうかを確かめた。以前に実施した実証実験では、特定小電力無線での通信を試みたが、マンホールの蓋の下に通信機をぶら下げて、マンホールを閉めてしまうと通信可能な距離がかなり短くなってしまうという問題があったという。この課題を解決すべく、さまざまな技術を調査して、LPWAに着目した。日立システムズは、今回の実験で使用した通信規格について「LPWAの一種であることは間違いないが、現時点では公開できない」としている。
図 マンホールに通信機を設置しているところ(左)。マンホールの蓋の蝶つがいからぶら下げている(右)
出所 日立システムズ
実験の結果は良好といえる内容だ。通信機を中にぶら下げて、マンホールの蓋を閉めても、1km以上離れた受信機と通信できたという。受信機は新潟市秋葉区の区役所屋上に設置し、通信を障害するビルなどが建ち並ぶ市街地のマンホールに通信機を設置して実験を実施した。特定小電力無線と比べて、通信距離が長いとい点だけでなく、導入コスト、運用コストを抑えられるという利点も確認できた。
図 秋葉区役所屋上に設置した受信機
出所 日立システムズ
現在3社は、引き続き実験を実施している。通信が可能であると確認できたので、マンホールに加速度センサーを取り付けて、マンホールの開閉を検知し、その情報をLPWAで送信するシステムの可能性を実験で確認している。実験の結果、サービスとして提供できる目処が立ったので、2017年の秋にマンホールの開閉を知らせるシステムの発売を目指すとしている。また、実験も続行し、マンホールの水位や流量、水質、有害ガスの有無などを検知するシステムの可能性を確かめる。有用と確認できたものは商用化していく。