NTTドコモは2017年6月29日、石川県白山市でIoTのセンサー端末やLPWA通信、機械学習などを活用して地域住民の暮らしを便利なものにする実証実験を実施すると発表した。実験期間は2018年4月~2019年3月の予定。実験開始に向けてNTTドコモは本日から白山市内でLoRaWANの無線ネットワーク構築の作業を開始した。
この実証実験は経済産業省が推進する「地方版IoT推進ラボ」事業に、NTTドコモが白山市や金沢工業大学などと共同で「白山市IoT推進ラボ」として申請し、2017年に認定を受けて実施するもの。このラボにはほかにアイ・オー・データ機器、金沢総合研究所、goowa、マルティスープが参加している。
白山市内など人が住む山地「里山」では、人口減少が深刻な問題になっている。今回実施する実証実験には、人口が減少する里山でもIoTのセンサー機器やLPWAの無線通信などの先端技術を活用することで、そこで暮らす人々の生活を楽なものにできるということを実証するという大きな目的がある。NTTドコモは白山市IoT推進ラボの一員として、実験対象地域にLoRaWANネットワークを構築する役目を担っている。そのために、LoRaWANのゲートウェイと、携帯電話通信網につながるモバイルルーターを提供する。
実証実験期間中の活動拠点は金沢工業大学が提供する。同大学が白山市の山岳地帯に建設中の「白山麓キャンパス(2018年4月開設予定)」を拠点として提供する。また金沢工業大学が実証実験の事務局の役目も務める。事業企画や宣伝広報、実証実験対象案件の発掘のほか、白山市IoT推進ラボの運営の役目も担う。
図 金沢工業大学が建設中の「白山麓キャンパス」
出所 金沢工業大学
実験環境が完成したところで、どのような実験を実施するのかは、コンソーシアムを組成して、そこで協議して決めていくという。金沢工業大学は白山市に構築した実験環境を活用して、新しいサービスの実現を目指すメンバーを広く募り、コンソーシアムへの参加を呼びかける。地域が抱える課題や、住民の要望に応えるサービスを提供できるメンバーを参加者の中から選び出して協業する機会を作るという。
実験内容は今後の協議で決めるが、現時点では住民が共同で利用する農機などの設備にセンサー端末を取り付け、住民全員が稼働状況を把握できるようにして、設備の稼働率を向上させるというアイデアや、環境センサーの検出値を分析してで川の増水や土砂崩れの兆候を検知し、事前に避難することで被害を軽減する環境を作るなどのアイデアが出ているそうだ。
NTTドコモは、この実証実験環境を提供することで得た知見などを活かして、コンソーシアムで生まれたサービスを2018年度中に提供することを目指すとしている。