東京電力フュエル&パワーは2017年9月15日、同社が運営する「富津火力発電所」(千葉県富津市新富:しんとみ)の改良工事が一部完了したと発表した。富津火力発電所には液化天然ガス(Liquefied Natural Gas:LNG)を燃料とするガスタービンコンバインドサイクルの「1号系列」「2号系列」「3号系列」「4号系列」が稼働している。このうち3号系列と4号系列は運転開始がそれぞれ2003年11月と2010年10月とまだ新しい。今回の改良工事の対象は1986年11月に稼働を開始した1号系列(第1軸~第6軸)と、1988年11月に稼働を始めた2号系列(第1軸~第7軸)。1号系列ではアメリカGeneral Electric(GE)製の設備を、GEの新しい設備に入れ替える。2号系列ではGE製の設備を三菱日立パワーシステムズ製の設備に入れ替える。
図 富津火力発電所の全景
出所 東京電力フュエル&パワー
設備の入れ替えにより、1号系列ではガスタービンの燃焼温度が1100℃級から1150℃級に上昇する。2号系列では1100℃級から1300℃級まで上昇する。この結果、発電効率が向上し、1号系列の第2軸と第4軸は47.2%から50.5%に、1号系列の残り4軸は47.2%から51.4%に向上する。2号系列はすべて47.2%から54.3%まで上がる予定だ。
これまで、2016年7月に2号系列の第1軸、2017年3月に2号系列の第5軸、2017年6月に1号系列第1軸、2017年8月に2号系列の第7軸の交換工事が完了し、今回は1号系列の第4軸の交換工事が完了した(参考記事)。残すは1号系列の第2軸、第3軸、第5軸、第6軸と、2号系列の第2軸、第3軸、第4軸、第6軸の合計8軸となった。2019年5月にはすべての工事が完了する予定。
今回、1号系列の第4軸の交換工事が完了したことにより、発電効率が47.2%から50.5%に、最大出力が165MW(16万5000kW)から167MW(16万7000kW)に向上した。これで年間の燃料費をおよそ6億円(現在の燃料費を前提にした試算)節約でき、CO2排出量は年間でおよそ3万トン削減できる見通しだという。
交換によって2号系列は7軸すべて発電出力が165MW(16万5000kW)から160MW(16万kW)に変化する一方、発電効率が47.2%から54.3%に向上する。すべての軸について、年間10億円の燃料費削減(現在の燃料費を前提にした試算)と、年間6万トンのCO2排出量削減効果が期待できる。
1号系列では、全6軸のうち第2軸と第4軸だけ蒸気タービンの型が異なるため、交換によって得られる効果が多少変わる。残りの4軸では、交換によって発電出力が165MW(16万5000kW)から167MW(16万7000kW)に向上し、発電効率は47.2%から51.4%に向上する。これにより4軸それぞれの軸について年間の燃料費をおよそ8億円(現在の燃料費を前提にした試算)、CO2排出量をおよそ4万トン削減できる見込みだ。
第2軸と第4軸は、発電出力が165MWから167MWに向上し、発電効率は47.2%から50.5%となる。この結果、それぞれの軸で年間燃料費をおよそ6億円削減できる見通しだという。CO2排出量は年間でおよそ3万トン削減できる。
交換工事がすべて完了すれば、年間で合計114億円削減でき、CO2排出量は合計で年間およそ64万トン削減できる。東京電力フュエル&パワーは、今後も燃料費を削減する対策を打ち出していくとしている。
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東京電力フュエル&パワー