KDDIは2017年11月15日、セルラーLPWA(Low Power Wide Area)通信サービス「KDDI IoTコネクト LPWA」を2018年1月から提供すると発表した。東北の一部地域など、狭い通信エリアでサービスを開始するが、2018年6月をめどに、通信エリアを日本全国に広げる予定だという。
KDDI IoTコネクト LPWAが採用する通信方式は「LTE-M(Cat.M1)」。通信速度を上り下りともに最大1Mbpsまで抑え、標準的なLTEでは20MHz幅の周波数帯域で通信するところを、この幅を1.4MHzまで狭めて、消費電力と通信モジュールのコスト削減を狙った方式だ。
KDDIは、一旦信号を受信したら長いスリープ状態に入って消費電力を削減する「eDRX(extended Discontinuous Reception)」や、事前に設定した時間帯に、電波の探索を止めさせる「PSM(Power Saving Mode)」といった機能も導入して、通信モジュールの消費電力量をさらに削減する。
また、データを複数回再送して、基地局までのデータ送受信成功率を引き上げる「カバレッジ拡張技術(Coverage Enhancement)」も利用する。この技術により、KDDI IoTコネクト LPWAの通信エリアは携帯電話が利用するLTEよりも広くなり、建物の奥深くまで電波が届くようになるという。KDDIはサービス開始と同時期に、以上の技術を搭載したCat.M1の通信モジュールを法人向けに発売する。外形寸法は、国内通信事業者が提供するLTE通信モジュールの中でも最小となるおよそ2cm四方。これまで、通信モジュールを取り付けることが難しかった小型の機器にも取り付けられる。そして、単三乾電池2本で10年以上動作するという。
図 KDDIが提供するCat.M1通信モジュール。左が表面で、右が裏面
出所 KDDI
KDDI IoTコネクト LPWAの月額料金は、契約回線数と1回線当たりの通信データ量によって変動する。とはいえ、最も高額なプラン(契約回線数が1~1万で、1回線当たりの月間通信量は10kバイトまで)でも1回線当たり月額100円(税別)と安価な設定になっている。
図 KDDI IoTコネクト LPWAの月額料金
契約回線数 | 1~1万 | 1万1~20万 | 20万1~50万 | 50万1~100万 | 100万1~500万 | 500万1~ | 超過データ通信料 |
LPWA10 1端末当たり 月間10kバイトまで |
100円 | 90円 | 80円 | 70円 | 60円 | 40円 | 10円/kバイト |
LPWA100 1端末当たり 月間100kバイトまで |
150円 | 135円 | 120円 | 105円 | 90円 | 60円 | 1.5円/kバイト |
LPWA500 1端末当たり 月間500kバイトまで |
200円 | 180円 | 160円 | 140円 | 120円 | 80円 | 0.4円/kバイト |
出所 KDDI
回線利用者はWebの管理画面にアクセスすることで、追加機能を利用できる。1つ目は回線の一時停止や再開、利用終了などの回線制御。2つ目はSIMカードの発注。3つ目はトラフィックレポートや課金ログ、回線状態一覧などの各種データのダウンロード。4つ目は通信データが集まる回線管理サーバーから、指定のサーバーにインターネットVPN(IPSec-VPN)で接続し、暗号化通信でデータ取得可能にする機能。5つ目はSIMカードが内蔵する鍵を利用した通信相手を認証する機能だ。
さらに詳細な設定機能を求めるユーザーに向けては「KDDI IoTコネクト デバイス管理」というサービスを提供する。このサービスを利用すると、それぞれの端末の省電力モードなどの各種設定状態を電池残量、電波強度、位置情報などを確認できる。事前に設定した状況になったら、メールで通知を受け取ることも可能。端末1台当たりの月額基本料金は、契約回線が1~1万なら50円、1万1~20万なら40円、20万1~50万なら30円、50万1以上なら20円。
各端末の設定を遠隔操作で変更したり、再起動させることもできる。遠隔設定の料金は端末1台に付き1回当たり10円かかる。また、各端末のファームウェア更新を一括で実施できる。ネットワークの混雑を避けた時間帯を設定することで、Cat.M1の通信速度でもファームウェア更新は可能だという。利用者が作成したファームウェア更新には端末1台に付き1回当たり50円かかるが、KDDIの通信モジュールのファームウェアを無料で更新する。
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