ソラコムとKDDIは2018年5月9日、IoT機器向けの通信サービス「SORACOM Air for セルラー plan-K」の提供を始めた。ソラコムが従来提供していた「SORACOM Air for セルラー」はNTTドコモの回線を利用していたが、今回提供を始める「plan-K」はKDDIの回線を利用する。従来のNTTドコモの回線を利用したサービスは名称を「SORACOM Air for セルラー plan-D」に改めて、引き続き提供する。
図 「SORACOM Air for セルラー plan-K」で使用するSIMカード
出所 ソラコム
ソラコムはKDDIと協力してKDDIの回線と、ソラコムがAmazon Web Service上にソフトウェアで作り上げた携帯通信コアネットワーク「SORACOM vConnec Core」を組み合わせて、IoT向け通信サービス「KDDI IoTコネクト Air」を開発し、2016年12月からKDDIがサービスを提供している(参考記事)。
しかしKDDI IoTコネクト Airには、ソラコムがコアネットワークで提供している各種サービスを使えないという欠点があった。2017年6月には、ソラコムのvConnec Coreとインターネット上の任意のサーバー間の通信をTLS(Transport Layer Security)を利用して暗号化する「SORACOM Beam」と、vConnec CoreとAWS上の仮想プライベートクラウド環境を接続する「SORACOM Canal」に相当するサービスの提供を始めているが(参考記事)、ほかの大部分のは使えなかった。
今回、ソラコムとKDDIが提供する「SORACOM Air for セルラー plan-K」では、ソラコムの各種サービスをすべて利用できるようになった。KDDIは2017年8月にソラコムの発行済株式を取得して、連結子会社としている(参考記事)。今回の新サービス開発には、KDDIの子会社になり、関係がより親密になったという理由もあると考えられる。
利用料金は毎日固定額の基本料金と、データ通信量が増えるに従って従量で料金がかかるデータ通信料の2本立てだ。そのほかに、使用開始時に1回線あたり1500円(税別:以下同様)の契約事務手数料とSIMカードの送料が初期費用として必要だ。
基本料金は、回線の使用前と回線使用を中断している間は、1回線あたり1日5円。回線を使用している間は1日10円。これでSMS(Short Message Service)も利用できる。SMSの送信には1回あたり3~30円が別途必要になる。
データ通信料は、午前2時から午前6時の間は、通信速度、上り通信、下り通信関係なく、1Mバイトあたり0.2円となる。ほかの時間帯は、通信速度や上り下りで料金が変わる。詳細は下表を参照してほしい。
表 「SORACOM Air for セルラー plan-K」の通常時間帯の料金体系
32kbps | 上り | 0.2円/Mバイト |
下り | 0.6円/Mバイト | |
128kbps | 上り | 0.22円/Mバイト |
下り | 0.7円/Mバイト | |
512kbps | 上り | 0.24円/Mバイト |
下り | 0.8円/Mバイト | |
2Mbps | 上り | 0.3円/Mバイト |
下り | 1円/Mバイト |
出所 ソラコム
利用料金は、これまでKDDIが提供していた「KDDI IoTコネクト Air」や、NTTのドコモの回線を使用する「SORACOM Air for セルラー plan-D」とほぼ同じだ。今後ソラコムは、同社のサービスで利用できる機器を認定する制度「SORACOM認定デバイス」で、今回提供を始めた「SORACOM Air for セルラー plan-K」で使用できる機器を増やしていく意向を示している。