Renault、日産自動車、三菱自動車工業の3社連合は2018年1月9日、ベンチャーキャピタルファンド「Alliance Ventures」を設立し、今後5年間で最大10億ドル(1兆1200億円;1ドル=112円で換算)を投資すると発表した。1月9日からネバダ州ラスベガスで開幕した見本市「CES 2018」で会見を開き、3社連合の会長であり、RenaultのCEOを務めるCarlos Ghosn氏が明らかにした。
図 会見の演壇に立つCarlos Ghosn会長
出所 Renault
投資対象は自動車の電動化技術、自動運転技術、ネットワーク接続技術、人工知能など、次世代の自動車に欠かせない技術を研究開発しているベンチャー企業だ。有望な企業に投資して利益を得ながら、新技術や新しいビジネスのアイデアを取り込むことを狙う。初年度に最大2億ドルを投資し、その後4年間も投資を続け、自動車業界で最大の企業ベンチャキャピタルになることを目指すとしている。
そして、最初の投資先はアメリカのIonic Materialsに決まった。同社は全固体電池の素材を開発しており、この素材を使うことで、入手が難しくなりつつあるコバルトを使わずに全固体電池を製造できるという。
Alliance Venturesは、シリコンバレー、パリ、横浜、北京にある3社の技術開発センターや、先進的なベンチャー企業が多く存在する地域に拠点を設け、3社の研究開発チームの協力しながら投資先を決めていくとしている。3社連合の会長であるCarlos Ghosn氏は「この投資活動は、世界で最も将来性を見込める技術を開発する新興企業を3社連合に呼び込むことを目的としている」と狙いを語った。
ファンドへの出資比率は、Renaultと日産自動車が40%で、三菱自動車工業が20%。3社連合は年間85億ユーロ(1兆1305億円:1ユーロ=133円で換算)を超える研究開発費を用意しているが、今回設立するファンドへの投資は、その研究開発費の枠外で実施する。