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RenaultがEVの使用済み蓄電池を住宅用蓄電池向けに提供、EV急速充電器への流用も進行中

2017/06/08
(木)
SmartGridニューズレター編集部

Renaultは、同社の電気自動車で使用済みとなった蓄電池を住宅用定置型蓄電池として再利用する実験を実施すると発表した。

フランスRenault社は2017年6月5日、同社の電気自動車(EV)で使用済みとなった蓄電池を住宅用定置型蓄電池として再利用する実験を実施すると発表した。Renault社は使用済みの蓄電池をイギリスの住宅用定置型蓄電池メーカーであるPowervault社に供給する。

図 Renault社のEV「ZOE」と、内蔵蓄電池

図 Renault社のEV「ZOE」と、内蔵蓄電池

出所 Renault社

Powervault社は供給を受けた蓄電池を分解して、住宅用定置型蓄電池を50台試作する。試作した定置型蓄電池は、イギリスの送電事業者であるM&S Energy社のサービスを受けていて、太陽光発電設備を備える住宅に設置する。設置した蓄電池は太陽光発電設備からの電力を充電するだけでなく、電力単価が安い時間帯に電力系統から充電する。電力単価が高い時間帯に電力系統から受電することを極力抑えることで、電気料金を抑える効果を発揮する。EVの使用済み蓄電池を流用することで、Powervault社は定置型蓄電池の製造コストを30%抑えられると見ている。

図 Renault社から供給を受けた使用済み蓄電池で製造した定置型蓄電池(写真左下)

図 Renault社から供給を受けた使用済み蓄電池で製造した定置型蓄電池(写真左下)

出所 Renault社

この実験は2017年7月から12カ月間実施する。M&S Energy社は実験終了後に、実験に参加した世帯を対象に、引き続き蓄電池を利用する意向があるかどうかを尋ねるとしている。そして、Powervault社は実験を通して使用済み蓄電池で製造した定置型蓄電池の性能や、顧客の反応を調査し、市場に本格的に展開する方策を考えるとしている。

蓄電池を提供するRenault社は、EV用として使える期限を8年~10年としているが、その後もほかの用途なら十分使えるとしている。今回の試みが成功すれば、Renault社のEVが搭載する蓄電池はEV用としての寿命は終えても、あと10年ほど役に立つことになるだろうとしている。

Renault社のEV batteries and infrastructures部門でProgram Directorを務めるNicolas Schottey氏は、Renault社がヨーロッパ6カ所でEVの使用済み蓄電池を再利用する計画を進めており、早ければ2018年にはその成果が市場に出てくるだろうとした。また、オランダAllego社と共同で、EVの急速充電器に使用済み蓄電池を利用する計画を立てて、すでに蓄電池を備えた急速充電器がドイツとベルギーで稼働していることも明かした。この計画について、1度に多くの車両が充電しようとしたときに役立つはずだとしている。


■リンク
Renault社
Powervault社

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