FOMMと富士通は2018年3月22日、蓄電池着脱型電気自動車(EV)の普及に向けて協業すると発表した。FOMMは2013年2月創業のベンチャー企業。2016年11月には蓄電池着脱型EV「FOMM1.0」を発表している。この車両は蓄電容量2.96kWhのリチウムイオン蓄電池パック4つを自由に着脱できるようになっている。
図 FOMMの蓄電池着脱型EV「FOMM1.0」
出所 FOMM
両社は今回の協業で、FOMM1.0の交換用蓄電池の在庫情報などを統合管理し、運転手に情報を伝える「Battery Cloud Service」の構築を目指す。富士通はこのシステムの基盤に、同社の位置情報活用クラウドサービス「「FUJITSU Mobility Solution SPATIOWL」を活用する意向を示している。
走行時に排ガスを排出しない「ゼロエミッション車」であるEVは、世界中の自動車メーカーが近日中の製品化に向けて開発に取り組んでいる。しかし、各メーカーが開発しているEVはどれも、巨大なリチウムイオン蓄電池を内蔵して満充電状態から走行可能な距離を延ばしたものだ。
各社の開発競争を見ると、走行可能な距離を競っているような感もあるが、このようなEVには1つ問題が残っている。充電に時間がかかるということだ。家庭で充電すれば1晩かかり、専用の急速充電器を使っても15~20分ほど待たされる。ガソリン車が給油するような使い勝手でEVを利用することは、今のところ難しいと言わざるを得ない。
そこでFOMMは蓄電池を着脱可能としたFOMM1.0を開発した。蓄電池の電力を使い切っても、充電済みの蓄電池と交換するだけで走り続けることができる。ガソリン車の給油に必要な時間があれば、蓄電池を交換して出発できる。両社は個人が蓄電池を所有することなく、ユーザーの間で共有する社会を目指すとしている。
そのために欠かせないのがBattery Cloud Serviceだ。運転手に残り電力量と、どこで蓄電池を交換できるのかという情報を提供するシステムだ。蓄電池を提供するサービス事業者は、個々の蓄電池の充放電履歴を管理でき、特性の変化も把握できる。
FOMMは、2018年12月からタイで蓄電池着脱型EV「FOMM1.0」の量産を開始し、Battery Cloud Serviceの運用を始める計画だ。