丸紅が国内電力トレーディング市場に参入
丸紅株式会社(以下、丸紅)は、国内の電力トレーディング注1市場に参入した。新会社の丸紅パワートレーディング株式会社(以下、丸紅パワートレーディング)を通し、同事業を展開する。2025年10月1日に発表した。
国内4位の顧客基盤と英国のトレーディング知見を活用
丸紅パワートレーディングは、丸紅の100%子会社である丸紅新電力株式会社(以下、丸紅新電力)と、英国で電力事業を手掛ける同じく100%子会社のSmartestEnergy Limited(以下、SEL)が50%ずつ出資し、設立した。
丸紅新電力は、電力販売量で小売電気事業者(新電力)の中で第4位の規模がある(2025年3月末電力需要実績)。SELは、電力の卸売・小売からトレーディングまで一貫して手掛け、英国の商用・産業向け電力サービスでは市場シェア10%を占める業界第3位の地位を確立しているという。
新会社では、丸紅新電力が保有する顧客基盤とSELの電力トレーディングに関するノウハウを組み合わせ、今後市場規模や流動性の拡大を見込む日本市場で電力トレーディング事業を進める。
丸紅は、中期経営戦略「GC2027」で、成長領域と高付加価値、拡張性を持つ戦略プラットフォーム型事業の推進を掲げている。プラットフォーム型事業の1つに電力卸売・小売事業があり、今回、その一環として電力トレーディング事業を開始した。
丸紅によると、国内の電力市場は、データセンターや半導体工場の新設・拡張により、今後も大きな需要の増加が見込まれている。一方で、太陽光や風力といった再生可能エネルギーの導入拡大は、天候による出力変動が大きく、電力供給の不安定化を招く要因ともなっている。需給バランスの維持や、燃料価格の変動に起因する電力価格の乱高下は、電力業界における喫緊の課題である。このような背景から、電力先物取引を含む電力トレーディング機能の重要性が増しており、市場規模も拡大傾向にある。
注1:電力トレーディング:電力の需給バランスを保ち、価格変動リスクをヘッジ(回避)するために、電力の先物取引や現物取引などを市場で行うこと。再生可能エネルギーの普及により、その重要性が高まっている。