フランスの産業用ガス大手Air Liquideは2018年11月30日(中央ヨーロッパ時間)、業務に伴って排出するCO2の量を2025年までに2015年比で30%削減すると宣言した。この数値はガス業界においては、最も野心的なものだという。Air Liquideは産業用、医療用に酸素、窒素、水素、ヘリウムのほか、独自開発の特殊ガスを製造販売している。日本にも「日本エア・リキード株式会社」など、子会社を4社置いている。
図 Air Liquideが掲げたCO2排出量削減に向けた具体策
出所 Air Liquide
Air LiquideはCO2排出量を削減するために、今後は再生可能エネルギー由来の電力の買取り量を70%ほど増やす。さらに、各種ガス製造装置のエネルギー効率を向上させる。加えて、ガス製造と輸送の業務工程を見直して最適なものに作り替え、個々の製品に関係するCO2排出量を10%ほど削減させるとしている。
また、顧客向けには同社がすでに提供しているエネルギー効率向上サービスや、CO2回収と再利用の設備など、CO2排出量削減に役立つサービスや製品を提案、提供していくとしている。加えて、行政関係者、産業界の顧客、非営利団体などと対話を進めながら、輸送用車両向けのバイオメタンの製造や、冷凍物流に向けたより良いサービスや製品の提供に力を入れるとしている。そして、CO2を発生させることなく製造した水素を、自動車やエネルギー業界に向けて提供していくという。
Air liquideは同日に、アメリカの再生エネルギー発電事業者であるNextEra Energy Resourcesから、風力発電所の電力50MW(5万kW)分を購入する長期契約を締結したと発表した。電力を供給する風力発電所はテキサス州メナード郡に建設中で、2020年の第四四半期に運転開始の予定。Air Liquideは風力発電所で発電した電力を、同社がテキサス州内で運営しているガス製造工場で消費する。これで、年間のCO2排出量をおよそ1.5トン削減できるという。また、長期契約で供給を受ける電力を使用することで、顧客に製品を競争力のある価格で提供できるとしている。