世界の5G商用サービスの動向
〔1〕先陣を切ってベライゾンが5Gサービスを開始
図1に示す、世界の通信事業者の5Gサービス開始計画の状況をからわかるように、世界の先陣を切って、米国のベライゾンワイヤレスが、今年(2018年)10月1日から、に5Gの商用サービスを開始した。
図1 世界の5Gサービス提供開始と計画
出所 野崎 哲、「エリクソン・フォーラム:エリクソン・ジャパンの戦略」2018、2018年11月8日
この後、2018年年末に向けてAT&Tが、また2019年に入ると、スプリントやT-モバイルという北米の主要な4通信事業者が5Gの商用サービスを開始する。5Gでは、北米が世界をリードしている状況である。
〔2〕北東アジア地域では韓国が先行
北東アジア地域では、韓国が先行しており、来年(2019年)3月にSK tetlecom、LGU+、KT(コリアテレコム)の3社が5Gサービスを開始すると発表している。
中国の3大通信事業者といわれる中国移動(チャイナ・モバイル)、中国電信(チャイナ・テレコム)、中国聯通(チャイナ・ユニコム)は、とくに最近目立った発表はないが、現在の計画として、2019年年末に向けて商用サービス、商用パイロットサービスを開始する予定だ。
日本に関しては(後述)、2019年9月20日からラグビーのワールドカップが日本で開催されるが、その時点で5Gのパイロットサービスを開始し、その後、徐々に展開して東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年までに、本格的な商用サービスを導入する計画となっている。
また、ヨーロッパあるいは中南米などの地域では、、早いところは2019年の前半から、スイスのSwisscom、スウェーデンのTelia、フィンランドのDNAとelisaなどが予定されている。また、イギリスのBTに続いて、2019年年末にVodafoneがサービスを開始する。2020年に入ると、スペインのTelefonica、Deutsche Telekom(ドイツテレコム)などが商用サービスを開始する。
オセアニア(大洋州)や中近東では、オーストラリアが比較的早く、2019年の初頭にTelstraとOPTUSの2社が商用サービスを開始し、その後シンガポールのSingTel、サウジアラビアのSTCなどが5Gの導入を計画している。
このように、国際的に見て、北米がかなり先行しているが、2019年の前半から後半にかけて本格的に導入する事業者多い状況となっている。
先行する北米と韓国の5G
〔1〕北米4社の戦略
図2に、北米4社である、AT&T、Sprint、T-Mobile、Verizonの5Gサービス戦略を示す。
図2 米国の通信事業者の5Gサービス戦略
出所 野崎 哲、「エリクソン・フォーラム:エリクソン・ジャパンの戦略」2018、2018年11月8日
図2に示すように、4社がそれぞれ違った取り組みで多様な5Gサービスを提供しようとしている。
〔2〕韓国は5Gサービス開始寸前
また、先行している韓国も、今まさに5Gサービス開始寸前である。図3の上部半分はかなり短期的な見方であるが、2018年の中頃に5G周波数のオークションが行われて周波数が割り当てられ、現在、各事業者とも納入する通信機器ベンダの選定の最中となっている。
図3 韓国の通信事業者の5G計画とサービスの展開
出所 野崎 哲、「エリクソン・フォーラム:エリクソン・ジャパンの戦略」2018、2018年11月8日
2019年の3月までにモバイルルータを使ったパイロットサービスが開始され、2019年中頃には5G対応のスマートフォンも登場するなど、5Gの本格的な商用サービスが展開される計画となっている。
また、図3の下部半分に示すように、パイロットサービスはソウルその他の大都市に展開し、2020年いっぱまでに全国展開という計画である。
一方、中国の5G商用サービスは2020年といわれているが、2019年の後半から、大規模なトライアルを実施する計画だ。中国の大規模なトライアルは、約10万局ぐらいの基地局をつくって実施するため、日本のほぼ全国規模のスケールのトライアルとなる。