政府は、『エネルギー白書2022』(令和3年度エネルギーに関する年次報告)を閣議決定し、2022年6月7日に発表した。同白書は、エネルギー政策基本法に基づく年次報告書であり、平成16(2004)年6月から毎年発刊され、今年で19回目を迎えた。
白書は毎年3部構成で、2022年版の構成は、第1部が「エネルギーを巡る状況と主な対策」、第2部は「エネルギー動向」、第3部は「2021(令和3)年度においてエネルギー需給に関して講じた施策の状況」となっている(全269ページ)。
また、毎年、日本と世界のエネルギー動向を踏まえた分析が行われるが、第1部の内容が、その年の白書を特徴づけるものとなる。2022年版においては、第1部の第2章「カーボンニュートラル実現に向けた課題と対応」(図参照)、第3章「エネルギーを巡る不確実性への対応」が特徴づけている。ここでは、地球温暖化に伴う異常気象の下、2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、ロシアのウクライナ侵略と世界的なエネルギー価格の高騰は、世界各国に深刻な影響を与えていると分析している。
図 日本のクリーンエネルギー戦略(「エネルギー白書2022」より)
出所 経済産業省 資源エネルギー庁、「令和3年度エネルギーに関する年次報告」(「エネルギー白書2022」)
白書を発行した直後の6月26日には、経済産業省は、東京電力管内で厳しい暑さの影響から、翌日の6月27日は電力需給が厳しくなると予測し、初の「電力需給ひっ迫注意報」(電力供給の予備率が5%を下回ると予測された場合)を発令した。
日本のエネルギー安全保障は喫緊の課題である。今後は、早急に、1次エネルギー自給率〔2020年:11%(白書)。2019年は12.1%で、OECDでは36カ国中35位であった〕の向上を根本に据えた、抜本的な政策転換が求められている。