天然ガスに水素を50%の割合で混合した燃料を燃焼する実証試験に成功
米国の電力会社であるジョージア・パワーは、天然ガスに水素を50%の割合で混合した燃料を燃焼する実証試験に成功した。三菱重工グループの米国現地法人であるMitsubishi Power Americas, Inc.(以下、三菱パワーアメリカ)が支援した。化石燃料に水素を混ぜて燃焼させる水素混焼は、二酸化炭素排出量の削減につながる技術として世界で開発が進められている。実証では、天然ガス100%の燃焼と比べてCO2排出量を約22%削減した。出力28万3000kW(キロワット)というガスタービン・コンバインドサイクル(GTCC)発電設備での水素混焼に成功しており、同設備としては世界最大規模の取り組みだという。三菱重工が、2025年6月17日に発表した。
図1 水素混焼の実証を実施した、米ジョージア州スマーナ市にあるマクドノフ・アトキンソン発電所
出所 三菱重工グループ ニュース 2025年6月17日、「米国ジョージア・パワーと世界最大の水素50%混焼実証に成功」
GTCC発電は、ガスタービンでの発電時に発生する熱を活用し、蒸気タービンを駆動させて発電する技術。複合的に発電することで、発電の効率を高める。ジョージア州スマーナ市にあるマクドノフ・アトキンソン発電所では、三菱重工製のガスタービン6台および蒸気タービン3台から成る3系列のGTCC発電設備が稼働している。
同発電所では、2022年6月に、世界初となる水素20%混焼の実証試験を実施した。2024年からは、ガスタービンを従来の蒸気冷却方式から変更し、高比率の水素混焼で実績があるというJ形燃焼技術を搭載した空気冷却方式の換装を進めた。さらに、5%〜50%まで複数パターンの水素混合割合を試行した。
その上で、今回、水素50%混焼を2025年5月〜6月にかけて試行した。実証は、ガスタービンに「M501GAC形天然ガス焚きガスタービン」(三菱重工製)を使用し、最大出力(全負荷部)と定格よりも低い出力(部分負荷)の双方の条件で実施した。
実証では、ジョージア・パワーの親会社である米サザン・カンパニーの研究開発組織が技術的なコンサルティングを実施した。三菱重工が、エンジニアリングや計画立案、水素混合燃焼装置・機器の提供、運転制御、試運転、リスク管理を支援している。また、三菱重工は、北米の新エネルギー関連企業であるサータラス(Certarus Ltd.)と共同で水素の供給と物流などを管理した。