副生水素と燃料電池電源で発電し電気をデータセンターに供給
本田技研工業株式会社(以下、ホンダ)、株式会社トクヤマ(以下、トクヤマ)、三菱商事株式会社(以下、三菱商事)の3社は、車両からのリユースを想定した定置用燃料電池電源を活用する実証を山口県周南市で開始した(図1)。塩水を電気分解する過程で副次的に発生する副生水素を燃料に発電し、その電力を分散型データセンターに供給して定置用燃料電池電源の実用性や事業性を検証する。実証期間は2025年8月から2026年3月までの予定。3社は⼭⼝県周南市にある実証サイトの開所式を8月1日に開催した。3社が同日に発表した。
図1 本田技研工業株式会社、株式会社トクヤマ、三菱商事株式会社の3社による実証の概要
出所 本田技研工業株式会社 プレスリリース 2025年8月4日、「副生水素と車両からのリユースを想定した定置用燃料電池電源を活用した実証を開始」
NEDO採択事業として3社が連携
3社による実証では、ホンダが燃料電池自動車(FCV)からのリユースを想定して開発する定置用燃料電池電源(図2)と、トクヤマの食塩電解事業で発生する副生水素を用いて発電する。さらに、その電力と系統電力、定置型バッテリー(BESS:Battery Energy Storage System)、再生可能エネルギーをエネルギーマネジメントシステム(EMS)で最適に組み合わせ、三菱商事のデータセンターに供給する。これにより、高効率な電力構成や最適な運用パターンを検証する計画だ。
図2 実証で使用する本田技研工業株式会社が開発中の定置用燃料電池電源のイメージ
出所 本田技研工業株式会社 プレスリリース 2025年8月4日、「副生水素と車両からのリユースを想定した定置用燃料電池電源を活用した実証を開始」
定置用燃料電池電源は、データセンターの常用電源や非常用電源としての役割に加え、電力需要のピーク時に消費量を抑制する「ピークシェービング」、系統への電力供給による調整力としての活用も想定している(図3)。
図3 実証における定置用燃料電池電源の運用パターン
出所 本田技研工業株式会社 プレスリリース 2025年8月4日、「副生水素と車両からのリユースを想定した定置用燃料電池電源を活用した実証を開始」
実証は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が2023年6月に採択した「水素社会構築技術開発事業」の一環として実施する。
今後、3社は実証を通じ、燃料電池の活⽤によって定置⽤燃料電池電源の導⼊や運⽤の経済的負担の軽減、電⼒の脱炭素化を進める。また、定受給できる副⽣⽔素と、リユースを想定した燃料電池を活⽤することで、データセンターのGX(グリーントランスフォーメーション)につなげるという。
参考サイト
本田技研工業株式会社 プレスリリース 2025年8月4日、「副生水素と車両からのリユースを想定した定置用燃料電池電源を活用した実証を開始」