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資生堂の化粧品容器リサイクルにシャネルとファンケルが参画

分別・洗浄不要でリサイクル参加促す
2025/10/03
(金)

化粧品容器の循環型プロジェクトにシャネルとファンケルが参画

 株式会社資生堂(以下、資生堂)によるプラスチック製化粧品容器の循環型プロジェクト「BeauRing(ビューリング)」に、シャネル合同会社(以下、シャネル)と株式会社ファンケル(以下、ファンケル)の2社が2025年10月1日に参画した(図1)。同プロジェクトでは、回収した容器を再生エタノールに変換する実証試験に成功しており、業界横断で資源循環モデルの構築を目指す。資生堂が2025年9月26日に発表した。

図1 使用済みプラスチック製化粧品容器の回収拠点「BeauRing BOX」のイメージ

出所 株式会社資生堂 ニュースリリース 2025年9月26日、「資生堂、新循環プロジェクト「BeauRing」にポーラに加えて、シャネル、ファンケルが新たに参画」

シャネル、ファンケル参画で回収拠点倍増

 資生堂は、2023年2月に使用済みプラスチック製容器を回収し、プラスチック製容器に再生する循環型プロジェクトとしてBeauRingを立ち上げ、同年4月には、株式会社ポーラ・オルビスホールディングス(以下、ポーラ)が参画した。

 BeauRingは、使用済みプラスチック製化粧品容器を回収し、再び化粧品容器に再生することを目指すもの。容器を横浜市内の百貨店などに設置した回収拠点「BeauRing BOX」で回収し、回収時に利用者の分別や中味の洗浄が不要。今回、シャネルとファンケルが参画し、先行して参加していたポーラと合わせて4社連携となり、2025年10月1日以降、横浜市内の回収拠点を現在の20カ所から41カ所に拡大する。

 リサイクル処理は、資生堂と積水化学工業株式会社(以下、積水化学)、住友化学株式会社(以下、住友化学)の3社が協業して検証を進めている(図2)。

図2 資生堂と積水化学、住友化学によるリサイクル処理のイメージ

出所 株式会社資生堂 ニュースリリース 2025年9月26日、「資生堂、新循環プロジェクト「BeauRing」にポーラに加えて、シャネル、ファンケルが新たに参画」

 これまでの実証試験では、積水化学のグループ会社である積水バイオリファイナリー株式会社の実証プラントで、回収した使用済み容器の再生エタノール化に成功している。積水化学が開発した、微生物触媒を用いて可燃ごみをガス化しエタノールに変換する「BRエタノール技術注1」を活用した(図3)。今後、再生エタノールを住友化学に供給し、従来の化石資源由来のものと同等の品質を持つ再生ポリオレフィン注2の製造試験に移行する計画だ。

図3 積水バイオリファイナリーの「BRエタノール技術」のイメージ

出所 株式会社資生堂 ニュースリリース 2025年9月26日、「資生堂、新循環プロジェクト「BeauRing」にポーラに加えて、シャネル、ファンケルが新たに参画」

 資生堂の調査では、プロジェクトの認知拡大に伴い容器の回収量は順調に増加しており、リサイクル行動の習慣化の可能性が示されたとする(図4)。

図4 資生堂が調査した使用済みプラスチック製化粧品容器収集量推移(6カ月移動平均)

出所 株式会社資生堂 ニュースリリース 2025年9月26日、「資生堂、新循環プロジェクト「BeauRing」にポーラに加えて、シャネル、ファンケルが新たに参画」

 今後、参画企業と連携して店頭での啓発活動を進めるとともに、企業や自治体の参加を呼びかける。


注1:BRエタノール技術:積水化学工業と米ランザテック社が共同開発した、微生物触媒を活用して可燃性ごみをガス化し、エタノールに変換するケミカルリサイクル技術。
注2:ポリオレフィン:ポリエチレンやポリプロピレンなどの総称。プラスチック(合成樹脂)の一種で、容器やフィルムなど幅広い用途に利用される。

参考サイト

株式会社資生堂 ニュースリリース 2025年9月26日、「資生堂、新循環プロジェクト「BeauRing」にポーラに加えて、シャネル、ファンケルが新たに参画」

 

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