[標準化動向]

IPTVの標準化動向(8):IPTV-GSI 第1回のレポート

=本格的なIPTVの勧告化を開始へ=
2008/03/03
(月)
SmartGridニューズレター編集部

ITU-Tの「FG IPTV」では、IPTVの標準化に向けて1年半にわたる審議を行ってきたが、このFG IPTVは2007年12月をもって活動を完了した。今後、このFG IPTVの成果を受け継ぎ、勧告化へ向けた作業や残された課題などは、「IPTV-GSI」に引き継がれる。2008年1月15日から22日まで、韓国ソウルにて開催されたIPTV-GSI第1回会合では、2007年12月に終了したFG IPTVで、1年半にわたって議論され、まとめられた成果文書をもとに、作業手順の確認や文書内容の精査など、勧告化へ向けて、新たな一歩を踏み出した。

≪1≫400名も参加した第1回「IPTV-GSI」

2008年1月15日から22日まで、韓国ソウルにて開催された「IPTV-GSI(※)」の第1回会合は、NGN-GSI、NGN-TSR(※)やSG11、SG19などの別の会合と同時に開かれたこともあり、全体では参加者が400人以上と、本場のジュネーブでの例もないほどの大規模な会となった。

寄書の件数は全体で20件と少なめだった(通常は200件程度)。今回、日本からも提出された寄書は1件であった。提出された寄書の内容も、IPTV-GSIの勧告草案作成の作業の方法や手続きなどが中心で、技術的な面での新しい議論はほとんどなかった。これは一つにはFG-IPTVでの技術的議論が比較的収束してきたこと、前回会合から1ヶ月程度であることによると思われる。

今後、IPTV-GSIに参加する各課題(Question)では、FG IPTVでまとまった提出文書(前回「IPTVの標準化動向(7)」を参照)を評価して、文書の内容や完成度から、「勧告草案(Draft Recommendation)」「技術文書(Technical Report)「補助文書(Supplement)」などの文書のステイタスを決め、勧告化を進めていく。

早期の勧告化が求められるのは、IPTVに関する「サービス要求条件」と「アーキテクチャ」である。これは、IPTVの標準全体に影響を及ぼす最も基本的な文書である。要求条件に関して言えば約700件の要求条件があり、勧告化に向けて精査が進められるだろう。

※GSI:Global Standards Initiative、NGNやIPTVなど特定のテーマに関する課題(Question)の合同会合。
※TSR:Technical and Strategic Review、技術・戦略レビュー。TSRは、GSI全体の調整、複数の課題にかかわる問題の抽出を目的としている。

≪2≫順調に議論が進むホーム・ネットワーク関連

次に、順調に議論が進んでいるテーマもある例として「IPTVサービスをサポートするホーム・ネットワーク」を説明する。この課題では、FG IPTVからの提案文書の質が高く、今回は効率よく勧告化の作業を進めるための提案と、アーキテクチャについての議論が行われた。

ホーム・ネットワークは、図1に示すように、アクセス・ネットワークとIPTV端末機器に接続するプライマリー・ドメインと、IPTV端末機器とホーム・ネットワーク端末機器の間のセカンダリー・ドメインで構成される。


図1 ホーム・ネットワークのアーキテクチャ(クリックで拡大)

この基本的な構成については、今回のGSI会合でも異論はなかった。一方、このアーキテクチャとIPTV全体のアーキテクチャとの整合、特にセカンダリー・ドメインの解釈、については、次の2通りの理解に分かれていており、今回の議題の一つとなった。

〈解釈1〉(図2
セカンダリー・ドメインは、プライマリー・ドメインと同様に、ホーム・ネットワークの機能の一つである。一方、IPTV端末機能は、ネットワーク・メディアを含むのではなく"箱"のイメージ機器である。


図2 セカンダリー・ドメインの解釈1(クリックで拡大)

〈解釈2〉(図3
セカンダリー・ドメインは、ホーム・ネットワークの機能の一つではなく、IPTV端末機能である。つまり、セカンダリー・ドメインによって接続するIPTV端末機器とホーム・ネットワーク端末機器は、必要なIPTV端末機能を複数の機器の中に分散して構成することができる。


図3 セカンダリー・ドメインの解釈2(クリックで拡大)

ホーム・ネットワークについては、順調に作業が進んでおり、2008年中に勧告化できるとみられるが、サービス要件やアーキテクチャの議論の結果に影響される可能性もある。

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