[特別レポート]

中国ケータイ最前線(5):携帯電話の料金体系と使い方

2008/03/14
(金)
陶 一智

本年2008年に開催される北京オリンピックを目前に、中国では、新しい3Gモバイル規格「TD-SCDMA」のサービス開始に向けて活発なトライアル実験が進んでいます。1987年11月18日、広州で始まった中国の携帯電話システムは、2007年11月で20年目を迎えました。人口13億人の中国での携帯電話のユーザーは、いまや5億人を超える世界最大のネットワークになっています。そこで、世界がもっとも注目する中国の通信ネットワーク事情をレポートします。図やグラフだけでなく、携帯電話の利用方法の違いなど、できるだけ具体的に分析し、中国と日本の携帯電話事情の違いを明らかにしていきます。
第5回は、中国の携帯電話のサービスについて説明します。
陶一智(とう・いちち)(著) TERMONYインターネットビジネス事業部代表
村上健一郎(むらかみ・けんいちろう)(監修)法政大学ビジネススクール

北京オリンピック記念連載! 第5回

≪1≫着信時にも通話料がかかる中国の携帯電話

中国の携帯の通信事業者は、省や特別市などごとに子会社化され、それぞれが独立してサービスを提供しています。ネットワークも独立しています。このため、携帯電話の料金プランには、全国共通のプランと、地方独自のプランがあります。それぞれのプランの中に、さらにサブプランがいくつもあるので、自分に最適なプランがどれなのか、簡単にはわかりません。また、新しいプランも次々と登場するので、注意していないと乗り換えが遅くなってしまいます。

すでに説明したように、携帯電話の場合、中国では基本的に、着信側も発信側と同様に通話料がかかります。従って、自分のプリペイドのチャージが十分にあっても、相手がプリペイドでチャージが不足しているせいで電話がかけられないこともあります。

地域によって異なりますが、通話料金はおおよそ、発信側、着信側とも0.50元(7.5円、以下1元=16円)/分程度です。地域によって市内通話(省内通話)が安かったり、上海の「神州行暢听カード16元版」のように着信無料のプランもあります。

SMS(ショート・メッセージ・サービス)のほうは着信無料ですが、一通の最大文字数は70文字程度の制限があります。

一方、PHSのほうは、着信は無料で、通話料金も一般の電話と同じです。基本料が30元程度、通話は0.22元/3分程度です。PHSにも携帯電話と同じく、プリペイドとポストペイドがあります。

≪2≫都市ごとに異なるサービス網

携帯電話網は、それぞれの子会社が独立したネットワークとして運用しており、契約した省あるいは特別市を離れて、別の省に行くとローミング扱いとなることに注意しなければなりません。ローミングの場合には、通話料も少々上がります。

固定電話やPHSから携帯電話にかける場合には、携帯電話サービスがどこで契約されたものかによって、かけ方が異なります。例えば、北京の固定電話から上海で契約された携帯電話にかける場合には、頭に「0」をつけて携帯電話の番号を入力する必要があります。しかし、同じ北京で契約されたものであれば、頭の「0」は必要ありません。中国移動の場合、長距離通話の料金の安いIP電話も使うことができます。この場合、頭に「17951」をつけて電話をします。

≪3≫プリペイドとポストペイドの支払い方法

支払いはプリペイド(カード購入による先払い)とポストペイド(営業所の窓口、郵便局、コンビニの支払いや銀行引き落としによる後払い)とがあります。

外国人がポストペイドで契約する(SIMを買う)には、登録時に、居留証または中国居住地の住所が記載された公的機関が発行した身分証明などが必要となります。

ポストペイドでは月額基本料がありますが、プリペイドには月額使用料のないものもあります。しかし、プリペイドのチャージには有効期限があるので注意しなければなりません。

また、前述のように、各省ごとに携帯の通信事業者が違っているので、例えば、北京で購入したSIMの電話番号には、上海で買ったカードでチャージすることはできません。そこで、複数の都市を行き来する人の中には、都市ごとのSIMカードを複数もっている人もいます。通話料の基準もSIMを購入した都市となるので、例えば、北京で買ったSIMを上海で使うと国内ローミング扱いとなり、通話料が高くなります。

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