[特別レポート]

中国ケータイ最前線(6):携帯電話向けアプリケーション

2008/03/31
(月)
陶 一智

本年2008年に開催される北京オリンピックを目前に、中国では、新しい3Gモバイル規格「TD-SCDMA」のサービス開始に向けて活発なトライアル実験が進んでいます。1987年11月18日、広州で始まった中国の携帯電話システムは、2007年11月で20年目を迎えました。人口13億人の中国での携帯電話のユーザーは、いまや5億人を超える世界最大のネットワークになっています。そこで、世界がもっとも注目する中国の通信ネットワーク事情をレポートします。図やグラフだけでなく、携帯電話の利用方法の違いなど、できるだけ具体的に分析し、中国と日本の携帯電話事情の違いを明らかにしていきます。
第6回は、中国の携帯電話のアプリケーションについて説明します。
陶一智(とう・いちち)(著) TERMONYインターネットビジネス事業部代表
村上健一郎(むらかみ・けんいちろう)(監修)法政大学ビジネススクール

北京オリンピック記念連載! 第6回

≪1≫中国で人気のケータイ・コンテンツ

今や携帯電話は、中国人にとって、生活必需品となっています。一般ユーザーは携帯での音楽ダウンロード、携帯ブログ、携帯ゲーム等のコンテンツを良く使います。写真1は、ケータイ・コンテンツのメニュー画面です。例えば移動夢網で音楽ダウンロード1曲は約2元(32円、以下1元=16円)、ゲーム・ダウンロード、ブログなどもできます。

写真1 ケータイ・コンテンツのメニュー画面
写真1 ケータイ・コンテンツのメニュー画面

また、業務利用には非常に面白いものがあります。例えば、警察官は“移動警務通”携帯電話システムで、人口、車両、犯罪者等のデータ検索、管理も行っています。また、公務員は、出張の時でも公文書の処理ができるような独自の携帯システムを使っています。

最近の話題としては、すでに日本で利用されているおサイフケータイのサービスが、中国でも、2007年2月に中国聯通(広東省)で始められたことです(※)。このサービスでは、中国の各大銀行の銀行カードとしても利用でき、支払いができるようになっています。また、通話料の支払いは当然として、宝くじの買取りまで可能となっています。更に、株式の株価の検索、株式の取引、帳簿、送金管理というサービスも提供しています。

>※中国のおサイフケータイ・サービス: http://www.gd.chinaunicom.com/products/archive_jsp_catid_11_253_254_256.html

≪2≫利用頻度の高いショート・メッセージ

日本と使い方が特に異なる点として、ショート・メッセージの利用頻度の高さが挙げられます。日本では、インターネット・アドレスを個々の端末が持って、Eメールを使うことがほとんどですが、中国では、電話番号さえわかれば送信できるショート・メッセージの利用がほとんどです。携帯電話のメッセージ長は最大70文字、PHSの場合には最大58文字です。なお、日本でもNTTドコモのショート・メールやauのCメールなどのショート・メッセージがあります。

中国でショート・メッセージの利用頻度の高さは、次の理由によります。まず、すでに説明したように、PHSを除き、携帯電話では電話を掛ける側と受ける側両方に通話料が発生するのが普通です。ところが、ショート・メッセージでは、送信側にしか料金がかかりません。また、1通当たり0.1元程度なので、電話料金を節約するためにもショート・メールが良く使われているというわけです。これに加え、PHSで電子メールのできるデータ通信が、なかなか提供されてこなかったことも、理由の一つです。

また、電子メールとショート・メール間のゲートウェイ・サービスも提供されるようになってきました。特に、若者でショート・メッセージを頻繁に使う人たちは親指族と呼ばれ、このような人たちをターゲットとしたのが、中国移動の「動感地帯」というショート・メッセージが一定まで無料のプランです。

なお、中国電信と中国網通のPHS間のショート・メッセージ相互通信は2004年にトライアルが開始され、2005年から全国規模に拡大されています。PHSの場合、相手が同じ省内の番号ならば、そのままの電話番号をショート・メッセージの宛先に指定しますが、携帯電話宛ての場合には、その前に“0”をつけます。逆に携帯電話からPHSへショート・メッセージを送る場合には、相手の地域番号の前に“1060”をつけます。料金は省によって異なりますが、北京ではPHSからの送信が0.08元、携帯からの送信が0.15元程度です。

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