【基本要素2】動き補償フレーム間予測
前述したように、フレーム間予測というのは、簡単に言えば、現画面と次の予測画面の差分(予測誤差)のみを相手に送る(変化のない同じ画像部分は送らない)ことによって圧縮する方法です。
動画像は、時間的に連なるフレーム(画面。例:1秒間に画面を30枚送る)で構成されていますので、フレーム間(画面間)予測は非常に有効な圧縮技術ですが、2つのフレーム(画面)の間で被写体に大きな動き(変化)がある(例えば、画面がコマーシャルから野球放送に切り替わる場合など)と、単純なフレーム間の予測は当たらなくなります。
しかし、形の変わらない物体が動く場合(バスが道路を走っていたりする場合)、動いた方向と動き量を知ることができれば、その物体の形に関する情報は既知ですから正確な予測画面を作ることができ、効率のよい(予測誤差の少ない)フレーム間(画面間)予測が可能になります。これが動き補償フレーム間予測です。動画像の圧縮符号化に変革をもたらした技術の一つです(図1-10参照)。
そのために、動き補償フレーム間予測は大きくは予測技術の一部ではありますが、5大要素の一つに挙げました。この発展形として、H.264/AVCでは、直前のフレーム(画面)だけから予測するのではなく、過去の複数のフレーム情報(例えば直前の画面ともう1つ前の画面情報)を活用した動き補償フレーム間予測も用いることができます。